ヒグマの目覚め・原生林にて

本日、大雪原生林にて自然観察講座を行いました。大雪原生林は、ちょうど石北峠の辺りに広がる、原始に近い姿をとどめる針葉樹の森です。直径1mを超えるエゾマツや、ヒグマの鋭い爪痕がついたトドマツがあり、巨木の下を歩いていると自分がこびとになったような気がします。豊かに枝を広げる大樹の真下、上を見上げても樹の天辺が見えないほどです。昭和29年、洞爺丸台風は北海道の森林に壊滅的被害を与えましたが、大雪原生林はその風害を免れ、樹齢100年、200年を超えるような大径木が立つ貴重な森です。そして、なんと雪面には、山の主、ヒグマの足跡がしっかりと残されていたのです。敏感な鼻で、春のにおいを感じ取り、冬眠から目覚めた!ヒグマが歩いた路を踏みしめると、巨木の森を、人知れず静かに行くヒグマの残像が見えるようでした。滅多にない体験に、参加者も驚き感心していました。
 今回、原生林の姿を観察してきました。私達が生まれる前から続いてきた森です。開発の進む中、ぎりぎり残った一画なのかもしれません。そしてそれは、深い意味のある一画だと思いました。
 (写真は、トドマツに残されたヒグマの爪痕です。)

間接照明を作ろう

春分を前にして、明らかに空気が入れ替わりました。近頃は、雨のにおいが鼻をむずむずさせます。今日は、もしや雨か?と予感させつつも、湿った雪の一日となりました。講座のお誘いです。3月20日、日曜日センターにて、スタンドライト作りを行います。蔓や木の実など自然の素材を使って、手作りのあかりを作ります。ちょっとくらいいびつでも、明りを灯せば、それがいい味と個性になるから不思議です。自分が思い浮かべる自然をあかりで表現してみませんか?
   時間 13:00~16:00 
   参加費無料です。定員10名(事前申し込み)
   詳細お問い合わせ 層雲峡ビジターセンター
            電話 01658-9-4400

層雲峡のクマゲラ

昨日、一昨日と低気圧のおかげで、ひどい吹雪に見舞われた層雲峡。朝からげっそりするような積雪量に、スコップとママさんダンプと、頼れる味方、除雪機出動。さて季節はめぐり、地面の虫たちが起き出す「啓蟄」(3月5日)も過ぎ、石狩川沿いのヤナギは艶やかな白銀のコートを纏い始めました。何だかんだと春の足音。厳しい長い冬も先が見えてきた感じで、こんな突然の吹雪にも少々余裕の表情です。今日、クマゲラが甲高く鳴きました。キョ-ン、キョ-ン 谷に響く美しい声。3月になり、そろそろ繁殖期が始まったようです。層雲峡にも確実に春は近づきつつ。本日いちばんの、嬉しい出来事でした。
 (クマゲラの美しい声って、どんな声?ビジターセンターのタッチパネル式画面から検索すると、鳴声が聞けますよ。他の野鳥のさえずり声や、ナキウサギの鳴き声も!ご来館お待ちしています。)

黒岳五合目の住人

今日は黒岳7合目まで行ってきました。現在、五合目の積雪計は200㎝とちょっと。ロープウェイを降りるとすぐに、あっちから「ジャージャー」、こっちから「ジャージャー」。聞き覚えのある、このしわがれ声はホシガラス。いるいるざっと見えるだけでも6羽ほど。彼らは、高山帯に成育するハイマツの実が大好き。だから特に、実が熟す秋口に大雪の山の上で見かける機会が多くなります。五合目はハイマツ帯ではないのでハイマツはありません。ここではエゾマツやトドマツの種子などを食べています。冬になるとホシガラスたちも山を下りて、数羽の群れになっています。群れでいるというのも、夏とは違った形態です。「あら、こちらにいらしてましたか。やっぱり冬は厳しいですよね。」なんだか山の仲間に会ったような、親近感を感じるのです。
ホシガラス(カラス科):黒褐色のからだに、星を散らしたように白い斑点が並んでいます。さしずめ夜空に浮かぶ星。美しい名前のとおり美しい鳥です。

小さな訪問者

暦の上では「雨水」(雪も雨に変わる頃の意味)も過ぎ、今年は雪も少なく、比較的暖かい日が続いています。が山の上では、まだまだ寒さ厳しくマイナス20℃の世界が支配しています。朝になると、窓の下に小さな足跡がいつもついています。毎晩訪ねてくるその主は、エゾクロテン。センターの周りをグルグル歩きまわっていて、この間はなんと、かまくらの中にまで足跡がついていました。好奇心旺盛です。今日はどこに足跡がついているかなと、毎朝のささやかな楽しみです。