クマはいます

 お客さんからの問い合わせでけっこう多いのが「クマはいますか?」という質問。もちろん「クマはいます」。ただしクマもヒトが恐いので、登山者が大勢いるような場所にノコノコ出てくるようなことはまずありません。
 経験を積んだ個体は、菜食中にヒトの声や足音がすると、サッとヤブのなかに隠れ、やり過ごしてから元の場所に戻ってまた食べ始めることもあります。ところが経験不足で好奇心も強い若い個体のなかには、ヒトを恐れず、興味を示す個体もあります。
 去年の秋、緑岳の登山道で、登山者とヒグマが出会い頭に遭遇し、ヒグマ撃退スプレーを噴射した登山者が、逃げるときに転倒して肋骨を折るという事故がありました。このときのクマは、好奇心の強い若い個体であったのではないかと思われます。
 大雪山にはどこにでもヒグマがいます。ただし人間の側が、声を出したりクマ鈴を鳴らしたりして、「お邪魔してますよ」というサインを示せば、ヒグマはサッとその場を去って、私たちがいなくなるまで待ってくれるます。大切なのは、クマのいる場所に来ているのだという意識を常に持つこと。過剰反応をする必要はありませんが、そのことを常に意識して山に入りましょう。

[開花状況]
(高原温泉)
ヨツバヒヨドリ↑
(第一花畑)
シラネニジン↑
(第二花畑)
ハクサンボウフウ◯
チングルマ(綿毛↑)

写真:緑岳斜面下部に立てられた、ヒグマに注意を喚起する看板。

クモイリンドウ

 白雲岳避難小屋周辺のクモイリンドウが見頃となりました。今年は7月30日に開花がはじまり、8月6日までに半数以上が咲いてきました。昨年と比べると花数は、やや少ないですが大雪山の花のトリを務めるには十分の風格です。

【開花状況】(白雲小屋周辺)ダイセツトリカブト○、チシマギキョウ↓、リシリリンドウ↓、ミヤマリンドウ○

写真:白雲岳避難小屋のクモイリンドウ (8/6)

一辺の雲もなく……

あわてて駆け込んだロープウェイのなかで帽子を忘れてきたことに気づき、窓から外を見るも、一片の雲もなし。こんな日に手ぬぐいやタオルを帽子がわりにして歩くと、山から帰ってくる頃には、額の真んなかにクッキリと痕が……。顔が売りモノの職種の方は、イメージダウンにつながりかねないので、じゅうぶんご注意を!

[開花状況]
(黒岳登山道)
ダイセツトリカブト↑、エゾニュウ↑
(黒岳山頂)
イワギキョウ◯
(黒岳石室)
ミヤマリンドウ◯
(雲ノ平)
ミヤマリンドウ◯、チングルマ(綿毛↑)

写真:ポン黒岳の岩場で鳴き交わすナキウサギ。手前の岩の上と、ハイマツの奥にもう一個体。(8/5撮影)

ヒグマ出没注意

 今年は5月初旬から山麓部でもヒグマの目撃が多く、センターにも随分と「クマ、見ましたよ」という情報がありました。最近ではユニ石狩林道周辺に出没しているとの情報があるので、これから山などに登る予定でいる方は鈴などを持ち十分注意して入るようにしてください。

*大雪山周辺にはどこにでも羆が生息していることを忘れずに!

写真:ナナカマドの実とフキを食べた羆の糞(ユニ石狩林道8/1)

ナキウサギ

 4月初旬からナキウサギの声は、よく聞いていましたが「声は聞こえど姿は見えず」といった具合で、なかなか観察することはできませんでした。しかし8月に入り活動も少しずつ活発になってきたでしょうか足元近くの岩の間から毛並みの整ったナキウサギがひょっこり顔を出してくれました。見た目はのんきな顔をしていましたが、これから晩夏から晩秋にかけては厳しい冬に備え、いっそう活動的に動きまわることでしょう。

写真:岩の隙間から顔を出したナキウサギ(8/1)