黒岳

8、9合目斜面をあれほどいっぱいのクリーム色で染めていたウコンウツギも、花びらには受粉完了合図の紅いラインが目立ち始め、少々咲き疲れてきた様子。代わりにダイセツトリカブトが空豆のような蕾を膨らませ、蕾といえどその存在感はさすがなものです。そして稜線では、顔を出さぬ太陽を待ちわびひっそりとピークを折り返したエゾツツジが空を仰ぐ・・。
 黒岳は最後まで残っていた7合目の雪渓が全て消えました(24日)。ここ5年間における黒岳登山道の消雪時期は概ね7月15日前後でしたが、今年もそれほど大きくずれるということもなく、結局は帳尻が合う結果となったようです。

 【開花状況】
(8~9合目)ウコンウツギ↓、チシマノキンバイソウ↓、ダイセツトリカブト蕾~1株開花↑/(山頂~ ポン黒岳)エゾツツジ○~↓、イワブクロ○、コマクサ○~↓、メアカンキンバイ○、チシマツガザクラ↑/(石室周辺)エゾノツガザクラ○、チングルマ○、ミヤマキンバイ○、ヨツバシオガマ○、ミヤマリンドウ○

写真:エゾツツジ(黒岳山頂 7/24)

緑岳

春先、緑岳花畑は例年よりも大量の積雪を抱えていましたが、第一花畑、第2花畑看板付近では登山道が出てきました。チングルマやエゾコザクラたちの為のグラウンドもようやく雪から開放され、裸の地面にコザクラがぱらぱら咲き始め、小さな芽や蕾がぷちぷちと顔を出しています。
 でも、第2花畑看板を過ぎた上部からはまだ雪渓が多く残り、エイコの沢崖付近までは7割方が雪歩き。足下に眠るアオノツガザクラの大群落に会えるのは8月のこと・・・。

【雪渓状況】
(第1花畑)90m
(第2花畑看板付近)80m、20m、20m
(第2花畑上部~エイコの沢崖付近)ほぼ雪渓

 【開花状況】
(第1花畑)エゾコザクラ咲き出し↑/(ガレ場下)エゾイソツツジ、コケモモ/(ガレ場~山頂)エゾツツジ咲き出し↑、タカネオミナエシ、イワブクロ

  写真:第2花畑 (7/20)

黒岳定点観測登山

毎年、7月の三連休中日は紅葉期を除けばいちばん登山客で賑わう日。ロープウェイには長蛇の列ができて、山頂は満員御礼・・のはずなのですが・・・。こう雨続きでは、春蝉からバトンタッチしたはずのコエゾゼミも鳴けず、6月以来出番の増えた合羽は濡れっぱなしです。昨日は観察講座「黒岳定点観測登山」の第2回目を実施しました。稜線の高山植物たちも随分と雨に叩かれたのでしょう。傷んだ花弁が多く、見ていてちょっと痛々しい。けれど、多雨による開花時期への影響はあまり見られず、今のところ例年との大きなずれはないようです。開花期の次は受粉・結実期を迎えて行きますが、高山植物には受粉を虫に頼っているタイプのものが多く、天候不順により訪虫率が下がると受粉・結実への影響も考えられます。今後も第3回・4回と観測登山を実施し、観察していく予定です。観察会に興味のある方は、どうぞお気軽にセンターまでお問合せ下さい。【黒岳登山道状況】(7合目)10m弱の雪渓一ヶ所残る。堅く転倒注意(赤石川)雨の為増水。ふくらはぎまで水が被る(7/18)【開花状況】(8~9合目)ウコンウツギ○、カラマツソウ○、チシマノキンバイソウ○、トカチフウロ○、ハクサンチドリ○、ミヤマキンポウゲ○/(山頂~ポン黒岳)コマクサ○、エゾツツジ咲き初め↑、イワブクロ↑/(石室周辺)チングルマ○、エゾノツガザクラ○、ヨツバシオガマ↑

ハート、ハート、ハート・・・

目下‘ハート’溢れるコマクサ平。
 コマクサが満開です。

 (コマクサの花って、ピンクのハートに見えませんか?)

【赤岳コース 雪渓状況】(第1花園)20~30mの雪渓3ヶ所トラバース(第2花園)緩斜面に110m(奥の平) 緩斜面に10mと20m(第3雪渓)下部緩斜面に75m、上部斜面に60m(第4雪渓)緩斜面に30m、2ヶ所

【赤岳コース 開花状況】(第1花園)エゾコザクラ↑/(第2花園)キバナシャクナゲ↑、エゾコザクラ↑/(コマクサ平)コマクサ見頃○、イワブクロ○、タカネオミナエシ ○/(第3雪渓)ジンヨウキスミレ○/(第4雪渓)キバナシャクナゲ○、エゾノハクサンイチゲ○、エゾコザクラ○、エゾノツガザクラ○、チングルマ ○/(山頂)タカネスミレ○、メアカンキンバイ○、エゾタカネツメクサ○、キバナシオガマ○、チョウノスケソウ↓

写真:満開のコマクサ(コマクサ平 7/17)

黒岳9合目の花状況

小雨が降る中、雪解けが随分と進んだ黒岳9合目まで登るとウコンウツギの花が斜面を覆うように咲き、その足元にはミヤマキンポウゲやチシマノキンバイソウが添うように咲いていました。そろそろこの辺りも花の最盛期を迎えそうです。

【開花状況】(黒岳9合目)ウコンウツギ○、チシマノキンバイソウ○、ミヤマキンポウゲ○、カラマツソウ○、トカチフウロ○、ハクサンチドリ○/(黒岳山頂~ポン黒)コマクサ○、イワヒゲ○、タカネスミレ○、メアカンキンバイ↓、ヒメイソツツジ○/(石室)エゾノツガザクラ○、チングルマ○、エゾコザクラ ○、キバナシャクナゲ↓

【登山道上の雪渓状況】(黒岳7合目)約9、21、4mが残っています。(黒岳8合目)登山道上は消失。(石室~赤石川)約40m。赤石川の石組みの橋は出てきましたが、川の水量が多いので渡渉の際は慎重に渡ってください。(赤石川~北海岳登山口)約40、36、124mが残っています。

写真:黒岳山頂直下 (7/11)