ふきのとう

ふんわりと積もった今朝の雪は、昨日までの雑多な足跡を覆い隠すのに丁度良く、雪原はまた新しくリセットされておりました。
 緩んだ谷間から落ちた茶色い雪崩跡も、純白のブロックに生まれ変わり、顔を覗かせたフキノトウの一歩手前のところでかろうじて留まっています。フキノトウはフキノトウで、己に振りかからんとしていたそんな一切に関しても、何事もなかったかのように、ただ空に向かって花を開かんとしています。
 雪の下から顔を出したての頃のフキノトウといえば、まだ緑というよりは黄色味の勝る萌黄色をしていますが、3月とはいっても、まだ氷点下まで冷え込む日は続きます。それも承知の上、花の衣は霜に焼けすっかり茶色くなっても、春を待つ姿というものはたくましいものです。

写真:フキノトウ(3/4 層雲峡)

柳も

2月もとうとう今日で最後になりました。明日からは3月。今週は急に暖かくなったおかげで、あちらこちらで柳の絹毛が目立つようになりました。ぽんぽんと膨らんだ繭玉のような絹毛を見ていると、春の序章を感じる思いがします。ちょっと気早かもしれません。
 前日に緩んだ雪原は朝の冷え込みでカチコチです。こんな日は目覚まし時計などなくてもひとりでに目が覚めてしまいます。固雪歩きが待ち遠しいのです。つぼ足でも十分。スノーシューをお守り程度に履いて自由気ままにエゾリス(ここは可愛く)になった気分で森を歩き回る気持ち良さは堪えられません。空の色がピンク色からオレンジ色へそして白々としてくるまで、お腹の虫がぐうとしつこく催促するまで、仕事の待っている家路などへどうして戻れましょうか!

写真:柳の絹毛(層雲峡 2/28)

光の春

只今なんと11℃。今年の最高気温です。
 いつ落ちるかいつ落ちるかと、そそくさと通過していた屋根の下。しつこく乗っていた氷と雪の固まりもこの陽気には耐えきれず、ドシ~ンとそれこそ地響きを立てて、ついに落ちたか。お昼休みはつるはし片手に総出で氷割りです。
 石狩川の岩の上の雪帽子も今日はとろんととけたおもちのようです。光の春、風は冷たくピューピューないても日差しは少しずつ力を増していきます。
 さて明日は雨の予報が出ています。この分だと道路は洪水?

写真:石狩川に出来た冠雪(雪帽子) 
             2/25

陽気にキョロロロロ~

2月のこれまでの寒さを思えば、うららかな日和と言いたくなるようなお昼でした。気温は4℃。国道の雪もとけ出し、ザブザブ水しぶきを跳ね上げ走る車に、ちょっと歩くのも躊躇してしまいます。
 二羽のヤマゲラがキョロロロロ~キョロロロロ・・・と独特の尻下がりの節まわしで鳴いていました。こちらからはメスの一羽しか見えません。向こうで鳴いているのはオスでしょうか。何となく郷愁めいた感覚を覚える声で、好きな鳥の鳴き声です。
 ヤマゲラはキツツキの仲間です。木の枝が交差する森の中を飛ぶキツツキは障害物の多い森の中で、自在に方向を変えて飛ばねばなりません。このため、翼は短く丸く、樹に着地するときもコントロールが利きます。空という波に乗るキツツキはとても機能的で、それがとても美しく見えました。

写真:ヤマゲラ (層雲峡 2/24)

オジロワシとエゾシカ

車を走らせていると、国道の両脇の柳やドロノキでカラスの群れがなにやら騒がしげにしていました。これはきっとエゾシカの死骸か何かがあるのだろうと思い、すぐに大型の鷲、オジロワシの姿を空に探しました。きっとカラスの喧騒に誘われ、やって来ているに違いないと思ったからです!案の定2羽のオジロワシが悠々と旋回しながら、エゾシカを狙っていました。それだけではありません。クマタカの姿も見えるではありませんか。カラスの群れとオジロワシとクマタカの姿に、それまで平穏であった空は一転し、にわかに荒々しい様相へと変貌していきました。
 それにしても、たった一頭のエゾシカの血肉の姿を空から嗅ぎつける眼力はたいしたものです。彼らはこの肉を3、4日でほぼ食べつくしてしまうのでしょう。4日後にもう一度訪れたときにはもう骨と皮を残し、粗方食べつくされた後でした。後はキツネやテンたちの餌となるのでしょう。厳しい現実に思えても、お腹を空かせた動物たちにとっては、これは紛れもなく恵みの瞬間となるのです。

写真:エゾシカ狙うオジロワシ
    (層雲峡 2/18)