キレンジャク

久々の晴れ間に、朝から森歩きをしていると久しぶりに聞く小さな鈴のような「チリリリ」という鳴き声。周辺の樹木を見渡すとドロノキの枝にキレンジャクの群れが止まっていました。群れの数を数えてみると23羽で、すべて尾の先端が黄色いキレンジャクでした。キレンジャクは赤い実をつけたヤドリギを啄み、休息を繰り返すこと30分。実を食べ尽くすと23羽の群れは一斉に飛び立ち、あの小さな鈴のような鳴き声とともに遠くへ離れていってしまいました。
 層雲峡周辺では4月下旬ぐらいまでキレンジャクの姿が見られますが、その後は北上して繁殖地に向かうようです。

写真:ヤドリギの実を啄むキレンジャク 4/3

積雪深

本州では梅や桜の花が咲き始めているようですが、層雲峡や大雪の山々では、まだ多くの雪が残り冬の寒さに覆われています。
 積雪深も30日現在で、旭川48cm、層雲峡110cm、黒岳7号目350cmとなっており積雪量自体はどの地点も、ほぼ平年並みとなっています。
 層雲峡などの山沿いの地域では、時おり日差しも強く春めいた日もありますが4月下旬までは降雪があり、一時的な大雪も珍しくないので本格的な春には、もう少し時間がかかりそうです。

写真:羽毛を膨らませ寒さをしのぐミヤマカケス(3/30)

大荒れ

層雲峡周辺は昨日の暴風雪に比べると幾分、風はおさまってきましたが降雪は依然多く視界も約50m程とかなり悪い状態が続いています。この1週間の天気はめまぐるしく16日の最高気温がプラス10℃になったかと思うと、17日には大雪で24時間に降った雪が50cmになるなど、天候の変化に体がついていけなくなりそうでした。そして、今現在も1時間ごとに除雪しなければいけないほどの降雪(きれいに除雪しても1時間後には、10cm強の雪が吹き溜まります)となっており、早い段階での天候回復を期待しているところです。

写真:大荒れの層雲峡温泉街(3/22)

雨と地吹雪

バシャバシャと屋根を打ち付ける雨の音で目を覚ましたのは夢などではなく、昨日の朝方のことでした。とうとう雨が降るようになったかとまどろんでいればもう朝の5時。その頃には雨は雪へと変わり、起き出す頃にはまたいつもどおりの雪化粧の朝。本当に雨が降ったのかしらとついつい疑り深くなってしまいます。
 さて、この時期に降る雨は「催花雨」と呼ばれ、植物に開花を促し、菜種梅雨ともいわれます。もっとも、本州では菜の花が咲き出す頃でも、北海道ではまだまだ先のこと。今朝はこの冬でも指折りの地吹雪に見舞われ、グオ~と大気が咆哮する様に春もおののき、さっさと隠れてしまいました。

写真:雪化粧の朝(3/14)

七賢峰の滝

先週の日曜日に観察会を行いました。「大雪山麓を歩く」の第2回目、目的地は七賢峰の滝です。
 国道39号線四の岩覆道付近から、冬期間は青く結氷したその姿を望むことが出来ますが、夏は茂った樹々に隠れて国道から眺めるのは困難で、冬ならではのコースのひとつです。
 滝の名の由来は中国の「七賢人」にたとえて付けられ、付近には七賢を思わす奇岩が聳え立っているので、「へ~」と思われた方は数えてみてください。(もちろん運転中でないときに)
 今回、滝までは陸万を起点に石狩川に沿って片道約2キロを歩きました。普段は車でビュンビュン走り抜けてしまう、そこを本来のヒトの持つスピードで歩くと、知っている(と思っていた)はずの景色がまるで違って目に心に飛び込んできます。車中からいつも見ていたトドマツ、エゾマツ、ドロノキ、カツラ、ヤチダモ、シナノキ、ハルニレ、ミズナラ・・・挙げたらきりがありませんが、それぞれがなんと立派なことか!国道からワープして巨木の林に紛れ込んだみたいです。不思議な感じがしたのはもうひとつ理由があります。増水や氾濫などの影響を受ける河畔林は立地が不安定な為、成長の早いヤナギ類やケヤマハンノキなどが主な構成樹種になります。もちろん針葉樹など他の樹種も見られますが、若木が多くなります。それなのに、さきに挙げたように成熟した巨木が多く見られたのです。河畔林とはいえ山側周辺に発達し、石狩川からは案外距離がある為、樹々にとって安定した環境だったのかもしれません。詮索より何よりその大きさが証明しています。
 さて、肝心の滝はどうだったのか?足場の悪い場所を越えて視線を上げた瞬間、「うお~~~っ、青い~」と嬉しい大歓声が上がりました。氷から苔の先を伝わり、膨らんでは落ち膨らんでは落ちる滴に見つけた今日の春でありました。

写真:七賢峰の滝 (3/7)