雪解けあと

ここ数日は、連日の雨と高い気温の影響で、遅くまで残っていた雪渓も随分と解けてきました。なかでも赤岳第1花園にある長く急な斜面の雪渓も23日には、ほぼすべて消失して随分と歩きやすくなりました。まだ多くの残雪がある赤岳コースですが、これからさらに雪解けが進むことで、また新たな花のシーズンを迎えようとしています。

【開花状況・赤岳】
第1花園:アオノツガザクラ↑・エゾコザクラ↑・チングルマ↑・ウコンウツギ○
コマクサ平:コマクサ↓・イワブクロ○・チシマツガザクラ○
第4雪渓:チングルマ○・エゾノツガザクラ↑
赤岳山頂:イワブクロ↓・タカネツメクサ↓

【雪渓状況】第1花園看板手前に約17mの雪渓が残る。第2花園は約104mが残る。奥の平は約10、11mが残る。第3雪渓は約96m残る。第4雪渓は21日ころに消失。(消失と記載している場所は、登山道上に雪渓が無いことを指しますが、周辺には残雪がある場合もあります)

写真:エゾノツガザクラ群生 7/23

夢のあと

 急な斜面を登りきり、緑岳の山頂に立つと、冷たい北西風が吹きつけました。稜線のようすは一週間ですっかり様変わりし、賑やかに咲き誇っていたエゾツツジの赤い花はほとんど姿を消し、花の終わったホソバウルップソウとひょろひょろと地面から突き出たエゾハハコヨモギが、ゆらゆらと幽霊のように風に揺れているのが目立ちます。先週7月16日にご紹介したチシマギキョウの株を捜して板垣分岐方向へ歩を進めると、花の命は短し!すっかり花を落とした姿に変わっていました。まだ咲き残っている株も、花は元気なく頭を垂れ、落ちるのを待っているようなようすでした。稜線はまさに「強者どもが夢のあと」的な終わった感が漂っています。
 一方、ここしばらくの雨で、第一・第二花畑の雪は急激に解け、雪解けのあとからエゾコザクラやミヤマキンバイなどの雪田植物が次々と開花をはじめており、こちらのほうはようやく始まってきたなという印象です。これから8月にかけて見頃を迎えそうです。

開花状況
第一花畑:キバナシャクナゲ・ジムカデ(咲き始め)ミヤマキンバイ↑・エゾコザクラ↑
第二花畑:キバナシャクナゲ↑・ミヤマキンバイ↑・エゾコザクラ↑チングルマ◯
岩塊斜面:メアカンキンバイ↓・エゾイワツメクサ↓・イワギキョウ↑・チシマツガザクラ↑・イワブクロ↓・ヒメイワタデ↑・ウスユキトウヒレン↑
山頂~板垣分岐:イワブクロ↓・ヒメイワタデ↓・ウスユキトウヒレン↑・チシマギキョウ↓・エゾイワツメクサ↓・エゾタカネツメクサ↓・エゾハハコヨモギ◯・チシマツガザクラ↑・シラネニンジン↓・エゾツツジ↓・サマニヨモギ↓

雪渓状況
 ここ一週間で急激に雪解けが進んだ印象。第一花畑は木道が完全に露出した。第一花畑上部斜面に100m程の雪渓が残る。第二花畑上部からエイコノ沢ガレ場までは、雪の斜面が、下から約10m

赤石川増水中

7月20日現在、赤石川は状況が一変しました。写真は16日現在のものですが、急激に雪解けが進み雪渓の上を歩くことはできません。
 状況は毎日変化しますが、今のところ水量が多いため、スパッツ・ストック等の装備の携行をおすすめします。蛇カゴの上を渡ることになりますが、場合によっては水中歩行になります。

 写真:赤石川雪渓7/16

登山道の残雪状況

 7月前半は天気も不安定で雨の多い日が続きましたが、ここ数日は、好天にも恵まれ山の雪解けもかなり進んでいます。しかし場所によっては普段よりも雪が多いところがあるので、特に本州からの登山者にとっては頭の痛い問題となっています。(センターへの問い合わせの大半は雪渓状況です)各登山コース(黒岳、赤岳、緑岳)の雪渓状況に共通していることは、例年よりも厚みのある雪渓が多いということです。なかでも赤岳コースの第3雪渓では、いまだに登山道が出ていない状態なので、登山者は150m以上の雪渓を、ほぼ直登するように登り下りしています。雪道が苦手な登山者にとっては、どのコースもまだまだ苦労する登山が続きそうです。

【開花状況・赤岳】
コマクサ平:コマクサ↓、イワブクロ○、チシマツガザクラ◎
第3雪渓:チングルマ○、エゾコザクラ○
第4雪渓:エゾノツガザクラ○、エゾコザクラ○、チングルマ○
赤岳山頂:エゾツツジ○、タカネツメクサ○、チングルマ○

【残雪状況】(第1花園)42、31m・(第2花園)125m・(奥の平)103m・(第3雪渓)175m・(第4雪渓)20,12,35m*数値は登山道上に残る大まかな距離です

 写真:赤岳第3雪渓 7/16

「青」が来た!

 「稜線の花はもう盛りを過ぎて」と、書き出すことになるのだろうという予想は大きく外れました。緑岳山頂から小泉岳方向にすこし歩いてみると、あらッ、ビックリ。エゾハハコヨモギの白緑の葉が包む山肌のあちらこちらに、鮮やかなピンクのエゾツツジの花・花・花。そして足下のそこここに上品な青紫色のチシマギキョウが!稜線は夏本番。ついに「青」の季節が来ました。風衝地好きな方にはこの三連休のオススメ・スポットです。
 とはいえ、山腹部にはまだまだ残雪も多いので、お出かけの際には地図とコンパスを忘れずに!

残雪の状況:
第一花畑木道終点付近から約180mの雪渓
第二花畑木道終点付近から約150mの雪渓
第二花畑上部からエイコの沢ガレ場まで1枚の雪面が続く(分断されつつあるが、視界不良時要注意)

開花状況:
登山口周辺:ダイセツヒナオトギリ↓・ヨツバヒヨドリ↑
樹林帯:ゴゼンタイバナ↑・ミツバオウレン↓
第二花畑:エゾコザクラ(咲き始め)
エイコの沢ガレ場:トカチフウロ↓・ヤマブキショウマ↑
緑岳斜面:コマクサ↓・エゾイワツメクサ↓・ヒメイワタデ↑・シラネニンジン↓・メアカンキンバイ↓・イワブクロ↓
緑岳山頂~板垣分岐:エゾツツジ↓・エゾイワツメクサ↓エゾタカネツメクサ↑・ヒメイワタデ↑・クモマユキノシタ↑エゾハハコヨモギ↑・イワブクロ↓・チシマキンレイカ↓・コマクサ↓・メアカンキンバイ↓・チシマギキョウ↑

写真:白雲岳を背景に咲くチシマギキョウ(ピンクはエゾツツジ、白はエゾタカネツメクサ)