清明の頃

層雲峡にも、春一番の雨が降りました。眠っていたいきものたちを起こす雨です。二十四節気、清明は「清浄明潔」春先の清らかで生き生きとした様子を表し、万物に晴朗の気が満ちてくる季節です。その気は、春を待ちわびる者にとって、むずむずと鼻先をくすぐる心地よい感触です。町から少しはずれた小さな沢で、リュウキンカの黄色い蕾が顔を出していました。黄金色に輝く日も間近です。

早春の風物詩

本州ではそろそろ桜が咲き始めたようです。層雲峡は・・・雪です。春一番の雨はまだやってきません。でも最低気温はじわりじわりと上がり始め、氷点下から開放されつつあります。ふわふわだった雪面も日中の暖気で重く締まって、早朝なら坪足でも、どんどん歩いていけるので探検にはもってこいです。よく見れば、小さく固まっていた冬芽もちょっと膨らんで「春芽」になってきました。ちょうどこの頃から、土手の下でよく見かけるようになるロール状の雪玉も春の風物詩です。緩んだ雪が斜面を転がり落ちるときに、接地面の雪をぐるぐる巻き取るように転がるので、巨大なバームクーヘンのような雪の固まりがあちこちにでんと座っています。
人為的雪のバームクーヘンの作り方: 1)ボール大の雪玉を作る。2)斜面から転がす。このとき下に人やいきものがいないことを確認すること。 3)できあがり。 ポイント:真っ直ぐ転がさないと中心がぶれて、斜面を下りきらないうちに倒れてしまったり、綺麗な層ができないので丁寧に静かに転がす。倒れていない、明瞭な層が何重にもできている、そして大きいものが出来たら記念撮影しておくのもよいでしょう。 

ヒグマの目覚め・原生林にて

本日、大雪原生林にて自然観察講座を行いました。大雪原生林は、ちょうど石北峠の辺りに広がる、原始に近い姿をとどめる針葉樹の森です。直径1mを超えるエゾマツや、ヒグマの鋭い爪痕がついたトドマツがあり、巨木の下を歩いていると自分がこびとになったような気がします。豊かに枝を広げる大樹の真下、上を見上げても樹の天辺が見えないほどです。昭和29年、洞爺丸台風は北海道の森林に壊滅的被害を与えましたが、大雪原生林はその風害を免れ、樹齢100年、200年を超えるような大径木が立つ貴重な森です。そして、なんと雪面には、山の主、ヒグマの足跡がしっかりと残されていたのです。敏感な鼻で、春のにおいを感じ取り、冬眠から目覚めた!ヒグマが歩いた路を踏みしめると、巨木の森を、人知れず静かに行くヒグマの残像が見えるようでした。滅多にない体験に、参加者も驚き感心していました。
 今回、原生林の姿を観察してきました。私達が生まれる前から続いてきた森です。開発の進む中、ぎりぎり残った一画なのかもしれません。そしてそれは、深い意味のある一画だと思いました。
 (写真は、トドマツに残されたヒグマの爪痕です。)

間接照明を作ろう

春分を前にして、明らかに空気が入れ替わりました。近頃は、雨のにおいが鼻をむずむずさせます。今日は、もしや雨か?と予感させつつも、湿った雪の一日となりました。講座のお誘いです。3月20日、日曜日センターにて、スタンドライト作りを行います。蔓や木の実など自然の素材を使って、手作りのあかりを作ります。ちょっとくらいいびつでも、明りを灯せば、それがいい味と個性になるから不思議です。自分が思い浮かべる自然をあかりで表現してみませんか?
   時間 13:00~16:00 
   参加費無料です。定員10名(事前申し込み)
   詳細お問い合わせ 層雲峡ビジターセンター
            電話 01658-9-4400

層雲峡のクマゲラ

昨日、一昨日と低気圧のおかげで、ひどい吹雪に見舞われた層雲峡。朝からげっそりするような積雪量に、スコップとママさんダンプと、頼れる味方、除雪機出動。さて季節はめぐり、地面の虫たちが起き出す「啓蟄」(3月5日)も過ぎ、石狩川沿いのヤナギは艶やかな白銀のコートを纏い始めました。何だかんだと春の足音。厳しい長い冬も先が見えてきた感じで、こんな突然の吹雪にも少々余裕の表情です。今日、クマゲラが甲高く鳴きました。キョ-ン、キョ-ン 谷に響く美しい声。3月になり、そろそろ繁殖期が始まったようです。層雲峡にも確実に春は近づきつつ。本日いちばんの、嬉しい出来事でした。
 (クマゲラの美しい声って、どんな声?ビジターセンターのタッチパネル式画面から検索すると、鳴声が聞けますよ。他の野鳥のさえずり声や、ナキウサギの鳴き声も!ご来館お待ちしています。)