黒岳五合目の住人

今日は黒岳7合目まで行ってきました。現在、五合目の積雪計は200㎝とちょっと。ロープウェイを降りるとすぐに、あっちから「ジャージャー」、こっちから「ジャージャー」。聞き覚えのある、このしわがれ声はホシガラス。いるいるざっと見えるだけでも6羽ほど。彼らは、高山帯に成育するハイマツの実が大好き。だから特に、実が熟す秋口に大雪の山の上で見かける機会が多くなります。五合目はハイマツ帯ではないのでハイマツはありません。ここではエゾマツやトドマツの種子などを食べています。冬になるとホシガラスたちも山を下りて、数羽の群れになっています。群れでいるというのも、夏とは違った形態です。「あら、こちらにいらしてましたか。やっぱり冬は厳しいですよね。」なんだか山の仲間に会ったような、親近感を感じるのです。
ホシガラス(カラス科):黒褐色のからだに、星を散らしたように白い斑点が並んでいます。さしずめ夜空に浮かぶ星。美しい名前のとおり美しい鳥です。

小さな訪問者

暦の上では「雨水」(雪も雨に変わる頃の意味)も過ぎ、今年は雪も少なく、比較的暖かい日が続いています。が山の上では、まだまだ寒さ厳しくマイナス20℃の世界が支配しています。朝になると、窓の下に小さな足跡がいつもついています。毎晩訪ねてくるその主は、エゾクロテン。センターの周りをグルグル歩きまわっていて、この間はなんと、かまくらの中にまで足跡がついていました。好奇心旺盛です。今日はどこに足跡がついているかなと、毎朝のささやかな楽しみです。

アイスキャンドル

現在、層雲峡では氷瀑祭りが開催されていますが、ビジターセンターでも、職員みんなで毎日コツコツと、センターの前にかまくらとそれに繋がる雪の廊下を作りました。廊下には、くりぬいた窓を作ってアイスキャンドルをひとつずつ置きました。雪降る夜の中、外側から見るその灯りは、トトロに出てくる猫バスみたいでした。残念ながら、安全上ずっと設置しておけないので、近々壊してしまうのですが、遊びにやって来た子供達が、かまくらの中でぐるぐる駈けまわって、バターになって溶けちゃうんじゃないかと思いました。アイスキャンドルは、バケツと水と、あとは氷点下の冷たい空気さえあれば作ることができます。全部凍ってしまうと、キャンドルが入れられなくなるので、そこは注意です。家の玄関の前に作っておくのも素敵です。

アイスキャンドル実物

これが、バケツに水を入れて層雲峡の身も凍る夜気で作った、アイスキャンドルです。

スノーシュートレッキング

朝8時30分ビジターセンターに集合。スノーシューを足に合わせてから、いざ出発。今日はどんな自然との出会いがあるでしょうか。
 森に入ると、ギー、ギー・・・ 舟のオールをを漕ぐような音が聞こえてきます。桂の古木が風に揺れて、ゆっくりゆっくり枝をきしませています。エゾシカの群れが、じっとこちらの出方を伺っています。コースを跨ぐようにして、今日はエゾクロテンのトレースがたくさんついています。長い歩幅は何か獲物を見つけたのか、勢いよく走りぬけた跡、短い歩幅は「何かいないかなー」と、うろうろした跡?彼らの息づかいがきこえてくるようです。私達が寝静まったあと、こうして動物たちが人知れず、確かに生きているのだと、新雪に残された彼らの足跡が実感させてくれます。今頃は樹の根元の小さな穴で体を休め、眠っているのかもしれません。冷たい空気に手をかじかませながらも、興味深く観察が出来ました。冬の森の観察会「スノーシュートレッキング」は、2月から3月20日までの毎週土、日、祝日に行っています。朝8時30分集合、12時頃までにセンターに帰ってきます。定員10名、要事前申し込みです。
電話01658-9-4400層雲峡ビジターセンター