黒岳のウコンウツギ

 ここ一週間のあいだに黒岳9合目の雪はすっかり消えて、さわさわと咲くウコンウツギの花の上では、ノゴマがご自慢の赤い喉を見せびらかすようにキュルキュルとさえずっていました。
 毎年7月上旬から中旬にかけて、ウコンウツギの花でクリーム色に染まる谷間の美しさは、黒岳ならではの風景。霧がかかればかかったで、またため息が出るほど。それはそれは本当にきれいなんですから。
 ウコンウツギはこれからもっといっぱいに咲き始めます。
 (写真:ウコンウツギ、9合目マネキ岩)

 【黒岳開花状況】
 (9合目)/ウコンウツギ↑、エゾノハクサンイチゲ↓、ミヤマキンポウゲ、カラマツソウ↑、ハクサンチドリ↑、チシマキンバイソウ(蕾と花)、クロユリ↑
 (山頂)/タカネスミレ↑、メアカンキンバイ、イワヒゲ↑、イワウメ↓、コマクサ蕾
 (石室周辺)/キバナシャクナゲ、エゾコザクラ↑、エゾノツガザクラ↑、チングルマ↑
 
 【登山道のようす】
 黒岳の雪渓は7合目から8合目のあいだで数箇所。どれも数mくらいと小さいですが、固く締まって滑りやすいので侮らずに。歩道は雪解け水が流れ、ぬかるみます。

山開き縦走登山

 昨日は、観察講座「山開き縦走登山」で赤岳から緑岳へ行きました。今回の講座では講師に運動指導士の方を招き、登山時の理想的な脈拍を意識しながら、ペース配分から休憩のタイミング、効果的なストレッチ、水分摂取などなど、「疲れをためない登山のしかた」を学びました。
 ちょっと意識して実践するだけで、ずいぶん疲れ度が違うということ、きっとその効果の程は、参加者ご自身のからだが証明しているはず・・。
 昨日、小泉平周辺ではチョウノスケソウが咲き始めていました。緑岳の稜線はイワウメがいっぱいで、遠くからも稜線全体が白く見えるほど。やや下り坂になってきましたが、きれいでした。
(写真:花咲く稜線とは対照的な緑岳第一花畑。大雪渓!)

【赤岳~緑岳山頂開花状況】
 ホソバウルップソウ、イワウメ、エゾオヤマノエンドウ、エゾタカネツメクサ、タカネスミレ蕾(開花あり)、チョウノスケソウ(開花と蕾)、チシマアマナ、メアカンキンバイ、ミヤマキンバイなど

赤岳のようす

 雪解けが随分すすんだ黒岳と比べると、赤岳はコースの3分の1ほどがまだ雪に覆われています。第一花園、第二花園、奥の平、第三雪渓、第四雪渓の主な斜面はすべて雪渓!第一花園は歩きやすいように雪切りされていますが、斜めの雪渓を長く横切って行かなければならないので注意が必要です。じつは雪渓の縁が氷のようにツルツル固くなって滑りやすくなるのは、雪解けがすすむこれからです。
 雪渓と雪渓のあいだの登山道沿いではキバナシャクナゲやイワウメなど咲いていますが、全体としては花はまだ準備中です。コマクサ平のコマクサもピンク色の蕾をにゅ~っと持ち上げているところ。山頂、ブルブル風に揺さぶられるウルップソウが3日前よりちょっと大きくなって咲いていました。
 (写真:赤岳第一花園)
 
 *赤岳登山バスが今日から運行されます。(7/1~9/30)昨年と時刻が変わっていますのでご注意ください。時刻表はホームページ、トップ画面の「アクセス」から検索できます。

ホソバウルップソウ

 小泉平でホソバウルップソウが咲き始めました。
 今はまだ背も小さくて、やっと下から花びらが開き始めたところですが、7月初旬頃にはニョキニョキと稜線から伸びる青い花が見られそうです。
 ホソバウルップソウが咲く頃は、小泉平の荒涼とした砂礫地がいちばん多彩に華やぐときです。堰を切ったように花が咲き始め、白、黄色、紫・・それは正真正銘天上の花畑に。
 そして、石と砂ばかりの大地から、こんなにもたくさんの色彩といのちが生まれるということが、本当に不思議でならないのです。

 【開花状況】
(緑岳山頂)イワウメ見頃、ミヤマキンバイ、エゾオヤマノエンドウ/(小泉岳周辺)イワウメ、エゾオヤマノエンドウ、ミヤマキンバイ、チシマアマナ、ホソバウルップソウ蕾・開花始め/(白雲岳周辺)キバナシャクナゲ、イワウメ、エゾコザクラ、ジムカデ

黒岳の山開き

 今日は黒岳の山開きです。昨日まで降り続いていた長雨の景色とは打って変わって登山日和の快晴。早朝から日差しも強く、ちょっと眩し過ぎるぐらいです。けれども、生育期間の限られた高山の植物にとっては待ちに待った太陽の光です。
 8合目から9合目の登山道沿いでは、少しずつ少しずつ小さな花たちが咲き始め、まだ雪の残る山頂直下ではエゾノハクサンイチゲが谷間を見下ろすように咲いています。この白い花を見ると登山の季節が始まるのだなあと毎年のように思うのです。
 写真:エゾノハクサンイチゲ(黒岳9合目)
 
 【登山道の様子】早朝からのカンカン照りと20℃を越す気温に雪渓から雪解け水が流れ、道はドロンコ状態。足元装備万全に。8合目までは雪渓多し。8合目から山頂は残雪少ないが雪解け水で歩きづらく滑りやすいので注意。

 【黒岳開花状況】
(山頂)イワウメ、メアカンキンバイ、ミヤマキンバイ、エゾコザクラ、ミネズオウ/(9合目)エゾノハクサンイチゲ、キバナノコマノツメ、ジンヨウキスミレ、エゾイワハタザオ