セイヨウオオマルハナバチ

2006年8月28日 その2

 危惧が現実になってしまいました。8/27付の北海道新聞にも掲載されていましたが、大雪山の黒岳でも外来種のセイヨウオオマルハナバチが確認されました。
 もともと「セイヨウ(略)」はトマトの受粉用に輸入されましたが、ハウスから逃げ出したものが野外で繁殖し、すでに道内全域に分布を拡大させ問題になっています。それが高山帯で確認されたのは初めてで、高山という脆弱で微妙なバランスで成り立つ環境では生態系への影響が心配されています。
 セイヨウはもともといた在来のマルハナバチに比べ繁殖力が強く、急速に置き換わりが進んでいます。これまで在来のマルハナバチと高山植物は、受粉を介し、大切なパートナーシップを築いてきました。花は受粉者に合わせて様々に色や形を変え、進化させてきたのです。その関係がセイヨウの出現によって絶たれるとしたら、高山植物にとっても深刻な問題となるでしょう。受粉がうまくいかなければ種を作ることができなくなってしまいます。
 今回黒岳で確認されたことにより、急務な対策が問われています。

ウラシマツツジ

 赤岳から黒岳へ。まだ山には初霜が降りていません。山の上の最低気温は、今のところ少し高めのようです。でも時季的には、もうそんな季節です。陽射しはあっても、登りでそんなに汗をかくということもありませんでした。これからの山は夏とは違います。防寒着を備えて登山を楽しんでください。
 稜線のウラシマツツジの紅葉は、地面全体に広がってきました。が、まだ「紅葉」からイメージするようなきれいな赤ではありません。緑と赤を混ぜたような地味色です。ほかに草紅葉らしいといえるのはヒメイワタデぐらいでした。今はじりっじりっと微妙な変化。
 
 写真:ウラシマツツジ(8/27・北海岳より黒岳遠望)

沼ノ原

 層雲峡の今朝の最低気温は10℃。ひんやりと冷たい空気を連れて秋来なん。
 写真は昨日の沼ノ原・大沼のようすです。只今、大沼満水中。哀れ水際のエゾオヤマリンドウは水に没し水中花に。水が引くまで幕営は不可です。
 湿原も五色ヶ原もだんだんと褐色めいて、紅葉前の静かな時間。乾いた風が始終吹いていました。
 
【開花状況】(沼の原湿原)エゾオヤマリンドウ、ウメバチソウ/(五色ヶ原)エゾオヤマリンドウ、タカネトウウチソウ、ウメバチソウ、ミヤマリンドウ

【登山道状況】先日の雨で登山道の橋が流された為、新たに迂回路が出来ました。ロープが張ってあるのでそれに従って通ってください。また、沼ノ原湿原までの登山道は侵食がすすみ樹の根や石が露出しているところ多々あり。五色の水場周辺は雨後ぬかるみます。
 
【林道状況】高原温泉・沼ノ原方面への林道は雨の為、路肩が弱くなり一部道幅が狭くなっている箇所がありますので通行の際はご注意ください。(*現在大型バスは通行できません)

エゾオヤマリンドウ

 エゾオヤマリンドウ咲く裾合平。トンボの一陣空を行き、しばし暑さも止息の竜胆紫。チングルマ綿毛の中で、キツネがうろうろ物色中。

 写真:エゾオヤマリンドウ(裾合平・8/21)

草紅葉は・・

 「いやあ~暑いですねえ。」が近頃のあいさつ。例年お盆を過ぎれば涼しい秋風が吹くところ、台風の影響で気圧配置が変わりムシムシと暑い日々。
 さて、暑い暑いとはいえ8月も下旬に突入し、そろそろ草紅葉の具合が気になる頃。8月末、大雪山の紅葉はウラシマツツジやヒメイワタデなどの草紅葉から始まります。そして今年の様子はどうかというと・・。
 今日も山の上、涼しいとは言い難く。けれど台風が離れてしまえば、追いやられていた秋が戻ってきます。そう、今暑いからといって今年の紅葉は遅いとは限らず。まだまだと思っていたのに何日かの冷え込みの後、急に色づき、あたふた山の上を東奔西走、これまで数知れず。
 現在、ポン黒岳や赤岳では、紅葉に向かって少し色変わり始めたウラシマツツジもあります(まだ一部ですが)。お鉢平の北鎮分岐から中岳の間ではヒメイワタデの草紅葉が始まってきたようです。
 8月末まであと一週間。コレバカリハ自然マカセ。

 写真:ちょっとだけ赤くウラシマツツジ(赤岳山頂)