雲井ヶ原湿原

 「雲海であってくれ~」の願い叶わず、やっぱり雨降り愛山渓。沼ノ平の予定を変更して雲井ヶ原湿原へ。
 ヒュッテからゆっくり歩いても20分くらいのところに雲井ヶ原湿原はあります。ひっそり小さな湿原ですが愛別岳の眺めは抜群で、湿原の植物に囲まれながらお茶なぞ飲んでのんびり。(注:蚊さえいなければ!)
 湿原はちょうど今タチギボウシが見頃です。トキソウも咲いていました。トキソウの名前はその美しい朱鷺色にちなんで。「朱鷺色」とは日本古来からの色の名前で、トキの風切羽の色のようなピンク色をいいます。なんとも優雅で気品ある呼び名です。
 
 写真:トキソウ

 【開花状況】
タチギボウシ○、トキソウ、オトギリソウ↓、ワタスゲ、ウメバチソウ↑、アリドオシラン、ヤマハハコ、コガネギク、チシマアザミ

チングルマの綿毛

 チングルマの花のあとに綿毛ができました。風車のように巻いた絹毛の根元には種があります。綿毛は、花のときのめしべが伸びたものです。種が熟す頃綿毛はもっとふわふわになって、ある日、風をつかんで飛んでいきます。

 写真:雲ノ平(8/1)

ダイセツトリカブト

 8月に突入です。北海道の夏は短く、そして山の夏はもっと短く。コエゾゼミは残り少ない夏に気づいたのか否か、今日もせっせとジイジイ鳴いています。
 黒岳はダイセツトリカブトが咲き始めました。わさわさと茂ったチシマアザミやらオニシモツケやらの葉っぱの中に、ぽつんぽつんと咲く美しい青紫の花を探して歩くのが楽しいです。蕾も小豆粒から蚕豆くらいまで大小さまざま。機会があれば、複雑な形をぜひじっくり観察してみてください。

 写真:ダイセツトリカブト(9合目)

 【黒岳開花状況】
(9合目)チシマノキンバイソウ↓、ダイセツトリカブト↑、オニシモツケ↑、チシマアザミ↑、ハイオトギリ↑、ナガバキタアザミ↑、マルバシモツケ、エゾヒメクワガタ、トカチフウロ↓/(山頂)イワギキョウ、チシマツガザクラ、サマニヨモギ、シロサマニヨモギ、コマクサ↓、エゾツツジ残花/(石室周辺)ミヤマリンドウ、ヨツバシオガマ、エゾノツガザクラ/(雲ノ平)チングルマ綿毛

五色ヶ原

 沼の原から五色ヶ原へ。沼の原湿原に上がるまでの登山道は侵食がすすんで浮いた樹の根や大きな段差が目立ちます。とくに急登は足場が悪いので注意。湿原は白いふわふわのワタスゲの季節。大沼の水は随分引いていて本日幕営可。(*降雨で大沼が満水になると幕営不可になります)
 五色の水場から難儀な急登を登って五色ヶ原の入り口、沢沿いに行くと雪渓が一ヶ所だけ歩道に残っていました。20mくらい。エゾコザクラが並ぶように咲いています。その先、高度を上げてトムラウシが見え始める五色ヶ原の中間部ではチングルマの群落がきれいでした。エゾノツガザクラもちょうどこれから良くなるところ。
 長い道のり、やっと五色岳の頭が見える上部のチングルマはもう花が散っていて綿毛になっているものも。チシマノキンバイソウも近くに遠くに咲いていますがそろそろ下り坂。
 さっぱりとした広い広い草原風景が何より五色ヶ原らしく美しいと思うのですが、チシマザサが年々進出しつつ。

 写真:五色ヶ原・後方はトムラウシ山(7/28)

山のおとしもの

 緑岳から板垣新道分岐へ向かう稜線にヒグマの糞が平べったくつぶれて落ちていました。8日前のものと推定。大雪山ではどこでもヒグマは歩き回っていますが、ここもクマの通り道。じつは結構「知らぬが仏」。
 ところで3日ほど前、白雲小屋では最低気温が3℃くらいまで下がったそうです!
 写真:白雲小屋(7/27)
 
【開花状況】
(白雲小屋周辺)チシマクモマグサ↑、チングルマ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラ、チシマノキンバイソウ、ミヤマリンドウ、チシマギキョウ開花、エゾタカネツメクサ、チシマキンレイカ↓、トカチフウロ/(白雲岳周辺)チングルマ、ミヤマリンドウ、エゾヒメクワガタ/(小泉岳周辺)リシリリンドウ↑、ミヤマリンドウ、エゾツツジ↓、エゾイワツメクサ、クモマユキノシタ

続いて、昨日(27日)の赤岳のようすです。登山道に雪渓が残っているのは第二花園だけです。100~150mくらい。固くなっているので注意。

【赤岳開花状況】
(第一花園)チングルマ↑/(第二花園)エゾコザクラ、チングルマ/(コマクサ平)コマクサ↓、チシマツガザクラ↑/(第3~第四雪渓)チングルマ、アオノツガザクラ↑、エゾノツガザクラ、イワギキョウ↑、ミヤマリンドウ、ヨツバシオガマ/(山頂)エゾツツジ↓、エゾイワツメクサ、イワブクロ↓