キバナシオガマ

 今日も雨!降ったり止んだりの思わせぶりな天気です。雨に疲れて、山頂の花もすすけたように元気がありませんでした。黒岳のエゾツツジは、例年ならちょうど綺麗に咲いている頃なのですが・・。
 北海岳の直下の雪解けの遅い雪田地帯はようやく春を迎え、チングルマやツガザクラなど様々な花が咲き始めていました。山の上ではいつもいろんな季節が混在しています。
 なだらかに続く北海平、今日のような雨降りにはキバナシオガマの黄色が鮮やかに見えます。日本では大雪山のみに生育している花です。

【黒岳開花状況】
(9合目)チシマノキンバイソウ○、ウコンウツギ○、トカチフウロ○、ハクサンチドリ↓/(山頂)エゾツツジ(↓・蕾もある)、コマクサ、イワブクロ、チシマキンレイカ○/(赤石川~北海沢周辺)アオノツガザクラ○、エゾコザクラ、エゾノツガザクラ、チングルマ↓

赤岳のようす

 写真は20日の第三雪渓です。登山道は、ここ数日間の雨で第一花園~第二花園の間が雪解け水と雨水でぬかるんでいます。

【雪渓状況】
 第一花園 3m程度
 第二花園 100m程度
 奥の平 30m程度
 第三雪渓・第四雪渓の登山道上にはありません。

【開花状況】
(第二花園)エゾコザクラ○、チングルマ○、エゾイソツツジ/(コマクサ平)コマクサ○、イワブクロ○、エゾツツジ、チシマノキンレイカ○/(第三~第四雪渓)キバナシャクナゲ○、エゾコサクラ○、ヨツバシオガマ○、エゾヒメクワガタ○、チングルマ○、エゾノツガザクラ○、アオノツガザクラ↑/(山頂~小泉岳周辺)チシマキンレイカ、キバナシオガマ↓、エゾタカネツメクサ、エゾイワツメクサ、エゾツツジ、リシリリンドウ(開花、蕾)
 花はこれからの第一花園、第二花園とは対照的に、稜線の花はすでに夏も終盤。ちょうど移行期で、ちょっと間が抜けた感じです。しばらくするとリンドウなど青い花の季節がやってきます。

ギンリョウソウ

 雨は今日も一日中降ったり止んだり。紅葉谷を歩いていると、樹も草もみんな、ぽたんぽたんと雨垂れを落としています。
 薄暗い林床で、落ち葉の陰に隠れるようにひっそり咲く白い小さな花を見つけました。
 名前はギンリョウソウといいます。白いのは葉緑素を持たないから。自分で養分をつくらず、菌類を介して栄養をとる腐生植物です。漢名は銀竜草。銀色の竜の姿に見えるところから名づけられたそうです。別名は他にもあって、薄暗い場所というシチュエーション、透き通ったその白い姿から幽霊茸とも呼ばれています。けれど、雨に濡れた姿は緑の森に映え、銀色に輝くドレスを着た貴婦人のようでした。

平山へ

 一昨日の日曜日。天気は晴れ。平山登山口の駐車場にはすでに20台ほどの車の列。山頂までの登山道はずっと沢沿いに樹林帯を登って行きます。途中、滝は美しく気持ちよいのですが、そこは水辺の常、何せヤブ蚊が多く難儀。やがて第一雪渓に着きますが、雪渓はだいぶ後退していて登山道にかかるのは30mくらい。左斜め前方に登山道の入り口があるので見失わないように注意です。第二雪渓はもう登山道が出ていました。そこを上がれば高山帯に入り、イワブクロなどの高山植物が多くなってきます。
 稜線に出ると、ニセイカウシュッペ山や表大雪山系が一望できます。残念ながらこの日は大雪山は暗雲の中。けれど深く刻まれた渓谷は間近、迫力の景色でした。
 じつは平山は、生育する植物の種類が豊富な山です。写真は鋭峰を背に咲くコマクサです。ちょうど見頃でした。 

緑岳花畑の雪解け比較(15日)

 そして、これが昨日7月15日の第二花畑のようす。(撮影場所はほぼ同じ)雪渓がかなり後退しています。たった4日でこんなに変わってしまいました。あらためて自然の力に感嘆。
 気になったのは、雪解けでぬかるんだ歩道をさけて、植物帯の淵を歩いた踏み跡。これから芽吹こうとしていたチングルマやエゾコザクラが痛々しく踏まれてつぶれていました。山や花の美しさに触れたいと思ってここを訪れたはずが、自らそれを壊してしまっては矛盾していると思いませんか?