コエゾゼミ

 小雨の降る中、黒岳山頂に登り着くとジイーン、ジイーンとうるさいぐらいにコエゾゼミの鳴き響く声が聞こえてきました。
 コエゾゼミは平野部のセミなので本来は高山には生息していないのですが、上昇気流にでも乗って運ばれてきたのかもしれません。

 写真:コエゾゼミ(黒岳山頂)

【黒岳開花状況】
(八合目~山頂)コガネギク、ダイセツトリカブト、ウメバチソウ、ミヤマホツツジ

綿毛の頃

 夏と秋をわける秋雨前線が北海道に近づいて、今週はぐずついた空模様になりそうです。台風の行方も気になります。
 緑岳の花畑、チングルマは咲いたその花の数だけすっかり綿毛になり、さわさわと揺れる今時季の山の風景。第二花畑周辺のワタスゲも真っ白な綿毛をぽんぽんと広げています。風になでられちっともじっとしていません。チングルマの綿毛同様、実が熟すとふわふわと抜けて風にのって旅立ちます。
 出会い頭の花畑、エゾシカがぴょんと飛び出しました。夏毛の今は、背中にワタスゲのような白い斑紋があります。これがいわゆる鹿の子模様。夏の木漏れ日にうまく隠れる美しい保護色です。
 
 写真:ワタスゲ(第二花畑・8/15)

【緑岳開花状況】
(第一・第二花畑)エゾコザクラまだ群落で咲いています。ミヤマリンドウ、コガネギク、ハクサンボウフウ、チングルマ綿毛/(山頂)クモイリンドウ

*第一花畑の雪渓も歩道に残るのは4mくらいになりました。

ナキウサギ

 山でピチッ・ピチッとナキウサギが鳴いています。近くで鳴き声がしたらしばらく足を止めて、気長に気長に待っていれば、姿を見つけるのはそんなに難しいことではありません。
 大雪山では、そろそろナキウサギの保存食づくりの仕込みが始まっています。ナキウサギの保存食?
 ナキウサギは冬眠をしませんから、冬の間は夏から秋に貯えた植物の葉っぱなどを食べて過ごしています。そのため、今からせっせと葉っぱを集め、日の当たらない風通しのよい岩の隙間に運びます。それから乾燥させて干草にするのです。
 もし、岩の下に押し込むように葉っぱが積まれていたら、働き者のナキウサギの姿を想像してみてください。

クモイリンドウ咲きました

2006年8月10日(その2) 午後は雷雨に 

 立秋過ぎ、されどジリジリ暑い日が続いています。白雲小屋周辺や小泉平ではクモイリンドウが咲きました(8/6開花)。
 広大な大雪山の中でも小泉岳周辺は高山植物の種類がいちばん多いコース。クモイリンドウはその代表的な花のひとつで、姿清らか高嶺の花。まだ蕾も多く、今週末頃見頃になりそうです。

【開花状況】
(白雲岳避難小屋周辺)クモイリンドウ↑、チシマギキョウ↓、イワギキョウ○、ダイセツトリカブト↑、コガネギク↓、トカチフウロ

山みちで

 葉っぱの上のアマガエルをちょいちょいとつつきながら木陰涼しい山道を歩いていると、前方にてんこ盛りのヒグマのフンが。いちおう辺りをそろりと見回し、糞ウォッチング。中にはフキのような太い繊維質の草がびっしり詰まっています。色は、したてのフンは食べた草の緑色をしていますが、時間が経つと黒くなります。くさいにおいはしません。これから秋になってヒグマの大好きなヤマブドウやコクワが実ると、それを食べたフンはジャムのような甘酸っぱいにおいがします。フンにはそれら未消化の種がたくさん詰まっていて、食べた分は必然的にちゃんと種まきされるしくみに。
 すでにフンの上ではにおいを嗅ぎつけたアリや甲虫たちが格闘中。やはり自然のことに無駄のナシ。