コケラオトシの花

 6月に入ってからは連日の気温高。蝉時雨にもいよいよ拍車がかかり、ウワ~ンと空気全体が共鳴しているような勢いです。
 昨日の黒岳山頂の気温は13℃。雪解けは着々と進行中で、9合目から山頂までの登山道は3分の1ほどが現れ、ショウジョウバカマが咲き始めていました。登山靴+スパッツでも歩きやすくなってはきましたが、滑りやすい箇所、踏み抜き跡もあるので油断は禁物。7合目から9合目まではまだ全斜面雪に覆われ登山道は出ていません。
 山頂から石室の間ではミネズオウやキバナシャクナゲが初々しくも開花し、いよいよ花シーズンのこけら落とし(?)となりました。いったん始まると、もうそのまま駆け抜けていってしまうような短くも凝縮されたエネルギーの季節です。

**開花状況(黒岳山頂)**
 コメバツガザクラ(↑)、ウラシマツツジ(↑)、ミネズオウ(↑)、キバナシャクナゲ(蕾↑)、ミヤマキンバイ(蕾)、ガンコウラン(↓)

 写真:ミネズオウ(黒岳山頂周辺・6/12)

浮島湿原の春

 昨日は浮島湿原で観察講座を行いました。湿原までの登山道は雪もすっかりとけ、新緑の木陰の中でムラサキヤシオやオオカメノキがこぼれるように咲いていました。標高870mの湿原からは大雪山やニセイカウシュッペも見えます。一見まだ殺風景に見える湿原にも、足元にはむくっと小さなチングルマやヒメシャクナゲの蕾が伸び、ミズバショウは今が見頃。そして、漆黒の沼に真っ白なヒツジグサが浮かぶ盛夏の頃もまたオススメです。
 
 *注意*木道の老朽化につき現在修復作業中
    (通行はできます)

 写真:ショウジョウバカマとミズバショウの
    ツーショット(6/10)

山のスケジュール

 今年の山のスケジュールです。
*山開き/黒岳 6月24日(日)
     旭岳 6月17日(日)

*林道開通/高原温泉線 6月8日(金)9:30~
      銀泉台線 6月19日(火)11:00~

*山小屋有人管理/
    白雲岳避難小屋 6月17日~(予定)
    黒岳石室 6月23日~(同トイレ)

 やっと屋根の本体が出た黒岳石室。まだ軒下の高さまで雪があります。昨年はもう小屋の裏側の地面(!)が出ていたのですが、今年はこの状況。場所によって雪解けのすすみにもずいぶん差があるようです。

 写真:黒岳石室(6/4)

お鉢平一周

 好天続き。上から下からギラギラと照りつける日差しは春を通り越し、夏を想わせるようでした。おかげで山の雪解けはすこぶる順調。今日は黒岳でコメバツガザクラが一輪開花していました。ミネズオウの蕾もピンク色に。
 
 **今日の装備**
 今日の黒岳斜面はザラメ状の雪。踏み込みが効かず足場が確保できない状態でした。歩行は難。8合目の上部から滑りやすくなっています。防水の効く登山靴+スパッツで登りました。ストック必携。
 下山時8合目でヒグマに遭遇しました。まだ若いクマで、このあいだ木登りしていたのと同じ個体のようです。こちらに気付くとびっくりした様子で、一目散に斜面を駆け下りていきました。(やっぱりクマも滑っていました。天然の爪アイゼンも効かないのか・・)

 写真:お鉢平(間宮岳より)6/4

ヘビノハナ

 つついたら蛇が出てきそうな草むらに奇妙な花発見。コウライテンナンショウといいます。茎にまだらの模様があり、すっと頭を持ち上げて立つ姿がヘビにそっくりなのでマムシグサとも呼ばれます。
 ユニークなのは、いでたちだけではありません。この植物には雄株と雌株があるのですが、栄養状態の良し悪しによって性転換をしているのです。
 種をつくる雌株はそれだけたくさんの養分を必要とします。雄株になるか雌株になるかは前年にどれだけエネルギーを蓄えられたかで決定。球根が太ると雌株になり、痩せると雄株になってしまいます。臨機応変に生きる植物です。

 写真:コウライテンナンショウ
   (雌株です)6/2