キトピロ

 南向きの日当りのいい斜面でギョウジャニンニク発見。落ち葉をプスリと突き破り、筆のような頭が伸びています。苗は、葉が1枚しかないもの、2枚のもの、3枚のものとそれぞれ違っています。3枚のものには、まだ小さいけれど花芽がついています。
 ギョウジャニンニクはユリ科の多年草で、普通2~3枚の葉をつけます。けれど最初の何年間かは1枚しか葉をつけません。光合成でつくった養分は毎年地下茎に蓄えられ、やがて地下茎が大きくなると、葉の枚数も2枚、3枚と増え、花芽をつけるようになります。じつは、想像以上に長い年月をかけて花を咲かせているものは他にもたくさんあります。同じユリ科のカタクリは花が咲くまでに7、8年かかるといいます。
 ところで、こんな風な生き物の世界の出来事は、しばしばニンゲン界についても重なり合うもの。
   ~一花咲カセル要点ヲ、
    今日ハ花ニ、明日ハ虫ニ教ワル

 写真:キトピロ(行者大蒜)の芽生え
           上川・4/16

ポン黒岳とキツネ

 今日の凌雲岳、北鎮岳のようすです。写真中央の豆つぶのような黒い点が黒岳石室(正確には隣接しているトイレの屋根。石室はほぼ埋まってます)です。石室周辺では、1ヶ月前より積雪量が30cmくらい増えていました。
 今日は黒岳の斜面もカリカリに固くなっているだろうなあと思っていたら、予想外にももっさりとした深雪でした。一昨日の降雪のためのようです。
 山頂からその先に続く稜線は、今日はまたいっそう真っ白です。ポン黒岳で雲が切れるのを待っていると、いつのまに現れたのか、隣でギャヒ~ンギャヒ~ンとキツネが騒いでいました。もう一匹いるのかと思いきや独りなのです。そしてギャヒ~ンギャヒ~ンと鳴き続けたまま、石室のほうにどんどん歩いて行きます。そのときは「ヘンなキツネ」と思ったのですが、もしかするとペアになってくれる相手を捜していたのかもしれません。北海道のキツネは1月頃から4月に発情期を迎えます。
 イイヒトミツカルトイイデスネ。

 写真:ポン黒岳より石室方面 (4/13)
   (右・凌雲岳、奥正面・北鎮岳)

エゾノリュウキンカ

 今朝は-9℃まで下がりました。まだまだ油断はデキマセン。できませんが、春はじわりじわりと確実にすすみ、「我が行く手遮るものナシ」だった白銀の世界も、今ではバッサバッサと笹が起き上がり、ハイ行き止まり~と立ちふさがるようになりました。そしてササといえばアノいきもの。そうダニです。のほほんと歩いていられた日々も、もはやこれまでか~とウラメシクもあり。
 今日、雪解けの湿地にリュウキンカの花を見つけました。昨年より5日ほど早く咲きました。眩しいくらいの黄色です。やっぱり春だなあと思いました。

 写真:エゾノリュウキンカ(上川4/12)

モモンガとケヤマハンノキ

 
 水に挿しておいたケヤマハンノキの花が咲きました。
 雄花が重そうにぶら~んと垂れ下がって、
 黄色い花粉がのぞいています。
 じつはモモンガが落としていったハンノキです。
 かじって食べたその残りです。
 花が咲いて、今日は何となくうれしい気分です。

 
 写真:エゾモモンガ(4/9)

北へ

 今朝、クキックキッと凍みた雪の上を横切って江差牛山へ行くと、梢の天辺からホオジロのさえずりが聞こえてきました。おとといは、融雪材の撒かれた田んぼの上で早くもヒバリがビュルビュルビービー鳴いていてびっくりしました。
 ホオジロやヒバリは、秋になると南の越冬地に渡り冬を過ごしますが、春になるとまた北へ戻ってきて繁殖をします。今はまだ夏鳥の先発部隊がやってきたばかりですが、4月末ごろになると森や公園は野鳥のさえずり声でいっぱいになります。
 冬の間、ナナカマドの実をついばんでいたキレンジャクやアトリももうそろそろ北へ帰って行きます。黒岳にはギンザンマシコが戻ってきて、ときどきつかえながらさえずりの練習を始めていました。

 写真:フデリンドウ(筆竜胆・4/7)