緑岳

2007年9月2日(その2)

 緑岳第1花畑に上がると、いつも正面にはドーンと緑岳が鎮座しています。(もちろん霧雲で見えない日もありますが。)その緑岳に今日は少し変化がありました。緑岳のガレ場にたすきのように流れる谷筋のウラジロナナカマド、上部に赤いしみのような斑点がひとつ。そして中腹部にもうっすらほんわりと橙色をのせたような色が出てきました。毎日フィールドスコープでヒグマ観察と巡視をしているヒグマ情報センタースタッフ曰く、緑岳も変化が出てからが早かったと。(彼らは緑岳の斜面を毎日見ています!)
 緑岳の山頂に登ると、ポン白雲岳周辺の高根ヶ原のナナカマドが紅葉していたのでまたビックリ。ウラシマツツジが赤いのかと思い双眼鏡で覗くとナナカマドでした。なぜかここだけ紅葉風景。比べて白雲小屋周辺や白雲岳山頂からの後旭岳方面はまださっぱり。
 今日の白雲小屋の最低気温は5.5℃。日射はサンサン。紅葉するには8℃以下の低温、そして十分な光と適度な湿度が必要。ひとまず今日のところは気温と光はクリアです。

 写真:緑岳ガレ場より高根ヶ原方面を望む(9/2)

混沌から始まる

 黒岳石室からポン黒岳を振り返ると、岩ばかりの斜面に紅葉したウラシマツツジの赤いパッチワークが出来上がっていました。現在色付きは7~8割ぐらいでしょうか。(ウラシマツツジ/ポン黒岳)
 そしてウラジロナナカマドの紅葉の行方ですが、お鉢平方面の稜線、一見緑色の景色に変わりはないのですが、全体的に「冴えない緑」になって紅葉の前準備段階に入ってきた模様。黒岳石室周辺や雲ノ平では、一部色付きの変化が見られます。緑色が抜けて他の色を混ぜたような混沌とした色。紅葉はこの「混沌」から始まります。この状態になると天候等の条件次第では数日で赤くなることもあるので油断はデキマセン。参考までに昨年の雲ノ平周辺のナナカマド紅葉は9月12~15日頃がピークでした。今のところすすみ具合は昨年とだいたい同じくらいのペースのようです。
 予報では来週明けから曇りや雨のはっきりしない天気が続くとのこと。朝晩の冷え込みが期待できないと紅葉のすすみも一時ストップとなってしまうのか?それでもあと1週間もすればいくらかは色付いているのかなとも思うのですが・・。嗚呼、予想も混沌。

 写真:雲ノ平(9/1)

白山防風

 いつのまにか関心事の対象は花から紅葉へと移り、視線はどうしても葉っぱに集中してしまいます。少しの兆しも見逃してなるものかと眉間にしわを寄せ、葉っぱを睨みながら歩いていると、赤石川と北海沢に囲まれた草地一面にハクサンボウフウの花。思わず足を止めました。毎年こんなに沢山咲いていたっけ?
 ハクサンボウフウはセリ科の植物です。ヒグマはこの根が大好き。大きな爪をシャベルのように使い、掘り起こして食べます。こうして漢字で書くと植物の名前ではないみたい。

 写真:ハクサンボウフウ(赤石川周辺 8/29

緑色のストライプ

 白雲岳に登ったものの、谷筋からは次々と雲が上がってきて後旭岳はすっぽりガスの中。一枚着込んでしばらく待機していると、岩場でシマリスとコンニチハ。その両手にはしっかりとバッタが掴まれていて・・。ガジガジガジガジッと貪るように食べるその姿、いつもより目がギッとつり上がっているように見えるのは気のせいか?とシマリスに気をとられているうちに、雲が途切れ後旭岳が見えてきたので慌てて一枚。この緑色のストライプはハイマツとウラジロナナカマド。紅葉するとたちまち赤や橙色と緑のストライプに変身します。例年の目安は9月上旬です。今はまだ圧倒的に緑が優勢ですが・・。

 写真:白雲岳より後旭岳方面(8/29)

紅葉のはじまり~銀泉台

 第1花園でこれくらい兆しがあるなら上はもっと??と期待したけれど、そんなことはありませんでした。逆に上のほうが緑のまま。今年も、なぜか第3雪渓や第4雪渓よりも標高の低い第一花園のほうから先にウラジロナナカマドが色付き始めています。じつは昨年もそうでした。一般的には、紅葉は標高の高い山頂部から始まり山麓部へと下りていくのですが・・。
 今日の白雲小屋周辺の最低気温は5℃。天気は快晴でしたが稜線の風は冷たく手の先がジンジン冷たい。結局防寒のフリースを脱ぐことはありませんでした。山ではここ数日間朝晩は順調に冷え込み、ウラシマツツジの紅葉もすすんできました。ウラシマツツジは昨年と同じくらいのペースですが、第一花園のウラジロナナカマドの色付きは昨年よりもちょっと早め。ただ始まりが早いからといってピークも早まるかというと一概にそうとも言えず。予想はいつもムズカシイ・・。ならば歩けと更なる東奔西走の日々が始まるのでアリマスル。

 写真:赤岳第一花園から見下ろす
    ウラジロナナカマド(8/27)