手袋の神様

 今日は水中からコンニチハ。ニホンザリガニです。北海道と東北北部の渓流や湖沼などの冷温な清流に生息しています。環境の変化に弱く、開発などによる生息地の減少さらには外来種問題に伴い、現在では生息数が減り「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。かつて北海道では身近な生き物で、「子供の頃よく捕まえて遊んだのにねぇ~」と懐かしそうに語る職員Mさん。今では羨ましいお話しです。
 春は産卵の季節です。ちょっと失礼してお腹を拝見。キャビアみたいな卵がたくさん付いていました。ニホンザリガニは産卵した後も卵が孵化するまで約3ヶ月間はお腹に抱えて守ります。
 健ヤカナルゴ成長オ祈り申シ上ゲマス。

写真:ニホンザリガニ(雌)(層雲峡5/16)
   アイヌ語名/テクンペコル・カムイ
  (手袋を持っている神様)といいます(他)

のぞいてみました

 雨空の下でも元気に囀っているウグイスに励まされての、今日の野鳥観察会。いつの間にか雨も止み、逆に曇っていたおかげで終始ゆっくりと観察することが出来ました(通常、野鳥を見やすいのは日の出から2時間ぐらい)。のっけからの「大物」は魚を掴んだミサゴ。その奥ではハシブトガラスが雛にせっせと給餌中。いつも人前にはあまり姿を見せないコマドリも出てきてくれました。橙色の胸を震わせて歌う姿は、さすが日本三大鳴鳥。虫だと思っていた声がじつはヤブサメという鳥だった!などなど収穫はたくさんです。他にも、鳥は何歳まで生きるのか?カッコウの托卵からみえる鳥の進化の話し、調査にまつわるエピソードなど講師の先生からわかりやすく面白く解説して頂きました。
 (おまけ)シメにシメシメで今日のシメ。

 写真:コマドリ発見!(江差牛山・5/13)

野鳥観察会

 紅葉谷はラブラブの季節です。シジュウカラにハシブトガラ、アオジにハクセキレイ・・どの鳥たちもペアになって、ついたり離れたりと仲睦まじく。ハクセキレイのオスなどは、もう自慢の羽を精一杯に広げて「見て見て見て!」とばかり。メスの周りをぐるぐるまわって朝からプロポーズ大作戦。
 層雲峡にも徐々に夏鳥が姿を見せるようになり、今日はオオルリを初確認しました。新緑前の今は見通しもよく、バードウォッチングには絶好の季節です。ということで、今度の日曜日に春の野鳥観察会を行います。大雪山の野鳥を専門に調べている方を講師に招き、いろいろな野鳥のお話を伺いたいと思います。まだ定員に余裕がありますので、興味のある方はぜひご参加下さい。

  【春の野鳥観察会】
  日時/5月13日(日)午前7時~10時
  場所/上川町江差牛山周辺
  持ち物/双眼鏡(貸出し用あり)、長靴
  *事前申し込みです。詳細お問合せ下さい。
  (電話 01658-9-4400)

 写真:オオルリ(紅葉谷・5/10)

白雲岳

 白雲岳へ足を延ばしました。5月中旬頃になると白雲岳の旧火口底には「幻の湖」が現れます。春先の雪解け水が火口底に流れ込み出来るのですが、ポイントは地面の状態。その頃まだ地面は地中深くまで凍りついていて、この氷の器のおかげで水はしみ出しません。けれどさらに雪解けがすすむと氷の器もとけ始め、水はすべて地下に吸い込まれ、湖は跡形もなく。季節限定、それで「幻」です。(参考文献/氷河時代の置き手紙)
 今回はまだ湖には時期早く。黒岳石室周辺は、連休前のまとまった降雪が影響してか昨年の今頃と比べ、若干積雪が多くなっています。場所によって雪解けや積雪は一様ではなく、今後の気温次第といえます。登山道はまだ出ていません。天候、時間帯によって雪質の変化が激しい時期です。帰りの黒岳、グサグサの雪に膝で歩くような状態でした。

写真:白雲岳旧火口底・ここに湖が出来ます
 奥、トムラウシ山(白雲岳より・5/6)

春の女神のカンケイ

 雪が解けたばかりの森にひっそりと咲くカタクリに訪問客です。春のわずか10日間ほどしか出会えないこと、そしてその美しさゆえ、春の女神と例えられるヒメギフチョウです。
 興味深いのは、北海道では、ヒメギフチョウの幼虫はオクエゾサイシンという植物だけを食べて大きくなります。そしてオクエゾサイシンはアリにその種を運んでもらい分布を広げています。アリが運ぶ距離はせいぜい数m。たとえば1年で1m分布を広げることが出来たとして、1km分布を拡大させるまでにナント1000年かかるという計算になります!
 「ヒメギフチョウ→オクエゾサイシン→アリ」じつはここには深~い深~い関係があるのです。

 写真:ヒメギフチョウ(上川・5/4)