舟掘る神様

 嘴一つ。
 さすが日本最大のキツツキともなるとダイナミックです。クマゲラが採餌したあとは、大胆に剥ぎ取られた木片が山のように積まれて、まるで大工仕事の後のようです。
 先日、上空からコロコロコロコロ・・とクマゲラの声が聞こえてきました。まだ冬から春への切り替わりができていない頭の中を、ほらほらと揺すられ、何となく気もそぞろになるのも毎年のことです。

 写真:クマゲラの食痕(3/21)
    アイヌ語名/チプタチカプカムイ 他
         (舟・掘る・鳥・神)

ヤドリギ計画

 よそ様の木の枝に根を下ろし、半分寄生しながら年中緑色の球体を茂らすヤドリギ。見た目もオモシロイし、その実を食べにヒヨドリやキレンジャクなど野鳥たちもやって来る。それで、庭にヤドリギがあったらいいのにねぇという話になりました。
 (←)鳥の糞です。中にヤドリギの種が入っています。ヤドリギの実はとてもねばねばしていて、鳥に食べられても消化しきれず、堅い種とネバネバは糞として排泄されます。鳥のお尻から落ちた種入りネバネバ糞は、納豆のように糸を引いてまた別の枝にペタっと張り付き、芽生えます。さらにネバネバは種を乾燥からも守ってくれます。
 けれど、それでもいつも上手くいくとは限りません。どこに種が落ちるかは鳥まかせ。そういうわけで「庭にヤドリギ計画」も長期化しそうです。

 写真:運悪く地面に落下してしまった種

初雨

 初雨がそぼ降ります。雨に濡れたダケカンバの枝先はいっそう赤みを増したように見えます。
 国道沿いの斜面ではあちこちで小さな雪崩が起きていて、その下からは、久しぶりに雪の重みから開放された青い笹がバサバサと頭を出しています。棚からぼたもち。喜んでいるのはお腹を空かせたエゾシカたちで、こうしている今も、ゾロゾロと斜面に出歩いて、ひたすらあぐあぐと草を食み続けております。
 紅葉谷に行けばフキノトウもすでに5つ6つは顔を出し、3月になってからは春がどんどんこちらに向かってくるようです。このまますぐにでも春になってしまいそうな勢いに、氷点下20度を下回ったあの2月の酷寒の日々も「そういえば寒かったっけね~」と思い出話しになりそうな今日日ではありますが、いえいえ、そうは問屋が卸さない。

 写真:エゾシカの親子(紅葉谷)

黒岳

 9日の黒岳石室周辺のようすです。積雪は3メートル程です。先月よりも周辺の積雪は増えました。(先月、頭が見えていた分岐標識が今回は埋まっていて見えなかった)
 とはいえ多いとはいえず、相変わらず石室の屋根は出ており、山頂からポン黒岳にかけての登山道はほとんど積雪がありませんでした。そしてとくに目立ったのが黄色い雪。9合目から稜線一帯にかけて、黄砂で黄色くなった雪がまだら模様を描いていました。
 この日は地吹雪がひどく、稜線はおろか石室でもグルグルと風が巻き隠れる場所も見つからない。おまけに、西風に乗ってお鉢平からは強烈な硫黄臭が絶えず流れてくるわで、一息つく間もなく山を下りました。

 【9日の積雪】5合目 170センチ
        7合目 320センチ
       (*7合目は昨年同時期とほぼ同じ)

 写真:黒岳石室より(後ろは烏帽子岳 3/9)

雪崩発生

 本日ついに最高気温がプラスに転じました。いきなり驚きの5℃を記録し、午後5時を回った現在も4℃と暖かく、モヤ~と気持ち悪い風が吹いています。
 昨日からの強風とこの緩みのせいで、黒岳沢で幅約50メートルに渡る全層雪崩が発生していました。春山の季節です。スキーや登山の際は、地形や雪の状態を十分確認し行動してください。とくに黒岳2合目周辺の斜面では、毎年雪崩が発生しています。ロープウェイ駅舎やビジターセンターで情報を入手してから入山するようにして下さい。

 写真:黒岳沢の雪崩(3/9)