(1)飛ばす

 冬の間、偏西風の風下にあたる黒岳東斜面には大量の雪が積もり、とくに新雪が降った後などはスノーシューを履いていても腰まで埋まるほどの吹き溜まりになることがあります。ところが山頂はというと、強風が雪を吹き飛ばしてしまうため、冬でもほとんど雪は積もりません。地面が露わになっているところもあります。保温材の役目をしてくれる雪が少ないため、植物にとっては過酷な環境です。その為、植物はマット状に葉を密生させたり、ワックス状の物質で葉の表面を厚く保護したりと、あの手この手の工夫で乾燥や寒さから身を守っています。

 写真:黒岳山頂周辺(12/26)
    7月、コマクサの群生が見られます。

霜華

 
 師走24日目。今日は満月です。
 昨日の月夜が素敵なプレゼントを置いていってくれました。
 窓ガラスについた霜の花。まるで白い鳥の羽根を一面に敷き詰めたよう。

 【霜】空気中の水蒸気が0℃以下に冷えた地物などに
    付着し、結晶状に凍りつく現象。

    写真:窓霜(12/24)

  
   師走20日目。
   ツリーの天辺にはやっぱり
   「星」ガラス。

       ~黒岳バージョン

 写真:ホシガラス/星鴉
    名前のとおり、夜空のような黒褐色
    のからだに星をちりばめた様な白斑
    が美しい。高山のハイマツ林や亜高
    山の針葉樹林などで見られる。
          (黒岳・12/20)

穴が開いた

 散歩コースの途中にあるトドマツの洞にモモンガが棲んでいる。けれどまだお目にかかったことはナイ。ナイけれど、晴れた夜の翌朝はとくに、食べ散らかしたトドマツの葉っぱやハルニレの冬芽がたくさん落ちているので、今日も元気に暮らしているのだろうと。ところがいつの間にか穴が増えていたのだ。モモンガの洞のすぐ下にキツツキが開けた穴がぽっかりと。
 モモンガはどうしただろう?食べ散らかした葉っぱがまた落ちているといいのだけれど。

  写真:洞の割れ目に齧った痕がある。
     モモンガが手直しをしたらしい。
     右下はキツツキの穴。

虫のイドコロ

 師走14日目。
 センターの2階で溜まった資料の整理をしていると、本棚の隙間からもそっと蝶が1頭出てきました。翅の裏面は全体が地味な茶色ですが、よく見ると後翅の中央辺りにL字形の小さな白い紋があります。それで付いた名前がエルタテハ。蝶はその種類によって卵、幼虫、蛹、成虫といったように越冬態も様々で、エルタテハは成虫で越冬します。きっとこの蝶もどこからか紛れ込み、本棚で冬を越そうとしていたのでしょう。片付けが済むまでちょっとどいてもらうことにして、鉢植にそっと乗せておいたのですが、どうにも虫の居所がよろしくなかったようで、いつの間にかいなくなってしまいました。どうやらとんだオジャマ虫。

 写真:エルタテハ
    後翅中央にLがあります。