クマタカ

 ペリペリという乾いた音が響いてくる。アカゲラが老いたオニグルミの樹皮を丹念に剥がしては、ご馳走の虫はいないかと探っているのだ。ところが、突然ヒヨドリが凄い剣幕で鳴き叫び、アカゲラは飛び去ってしまった。振り向くと、クマタカの大きな黒い影が頭上からギッと睨んでいる。後頭部の冠羽は風に逆立ち、見開いた黄色い眼は、雪面の動くものすべてを見透かしているようだった。確かに瞬間、気配がピンと張り詰めるのを感じ、私はドキリとした。

 写真:「ワシ掴み」
 
 クマタカ/絶滅危惧種(環境省指定)
     山岳森林帯に生息する大型のタカ。山岳
     森林生態系の頂点に位置する生物である
     ため、森林環境の変化を最も受けやすい。
     クマタカの保護は森林生態系そのものの
     保護にも繋がる。(参考/日本動物大百科)

年の初めに

 層雲峡ビジターセンターより謹んで新年のおよろこびを申し上げます。
 さて、今や地球温暖化問題は大雪山の環境とそこで生きるいきものにとっても深刻な問題となって降りかかっています。そこで2008年の自然観察講座では、新たに高山植物の分布調査に取り組み、一般参加形式で継続的に取り上げていきたいと考えております。また、このかけがえのない大雪山の自然を、多くの皆様にいかに情報発信していくか、常に甘んじることなく職員一同努力してまいります。

 オメデトウゴザイマス。野ネズミのミカドネズミといいます。野ネズミは大きく分けてアカネズミ(12/4掲載)の仲間とヤチネズミの仲間があり、ミカドネズミはヤチネズミ組。チャームポイントは丸っこい体と、毛で覆われた短いしっぽデス。

木走

 師走30日目。
 朝霧の向こうに夕日のような大きな太陽が昇り、お腹を空かせたシジュウカラやハシブトガラが、いつものようにパタパタと飛び回っていました。その群に混じって、ツリリリ・・と小さな声が聞こえてきます。
 キバシリという鳥をご存知でしょうか?大きさはスズメくらい。キバシリは「木、走り」。いつも、ツツツツ・・・と木の幹を走るよう上っては樹皮の隙間の虫を探しています。上るのはお手の物。でも頭を下に向けて下りれない、上昇志向な鳥です。
   
  「師走の木走、小走りに虫取り」
   どうもおあとがよろしいようで。
   いよいよ明日は大晦日。
   皆様どうぞよいお年をお迎えください。
 
 写真:キバシリ(12/30)

【年末年始休館のお知らせ】
 12月31日(月)~1月5日(土)まで休館いたします。新年は1月6日(日)より開館。開館時間9:00~17:00

(2)刻む

  また、風は雪を刻み、
  美しい造形を見せてくれます。

   写真:「風紋」
    (雲ノ平、後ろは烏帽子岳・12/26)

(3)伸びる

 北鎮岳周辺は風の通り道。
 おかげでこんなに立派な樹氷ができました。
 ここでは「エビ」も成長すると「伊勢海老のしっぽ」になるようです。
 ちなみにこの大きな樹氷の塊りは登山道の標識。

 【樹氷】過冷却(0℃以下になっても凍っていない状態)した霧や雲の水滴が、樹木や地物に次々と衝突して、瞬間的に凍結することでできる氷粒の集まり。風上に向かって成長し、尾びれ状の形になることから、「エビのしっぽ」ともいわれます。

 写真:「伊勢海老のしっぽ」(北鎮岳分岐12/26)
    しっぽの伸びる方向で風向きがわかります。
    風は写真の右から左に向かって吹いています。