日本一早い紅葉始まりました

 山ではここ数日間、寒気の影響で最低気温が0℃近くまで下がり、水場周辺では初氷や霜柱が記録されました。気温の低下にともない緑岳周辺の沢筋ではウラジロナナカマドがうっすらと色づいてきました。今のところ1~2割程度の色づきですが、今後の気温しだいではずいぶんと進むこともありますので8月とはいえ気が抜けなくなってきました。

*白雲岳避難小屋の水は日中でも流れが少なくなり、今後は水の確保が困難になると思われます。

写真:色づき始めたウラジロナナカマド(緑岳中腹部)

山の水場

 山から下山してきて最初に受けた電話の問い合わせが「黒岳石室では、まだ水は取れますか」でした。例年だと、黒岳周辺で8月中旬から水の心配をする必要などあまりなかったのですが、今年に関して言えば8月17日の現時点で、昨年の9月上旬よりも雪渓の量が少ないという状況ですので心配にもなります。
 今のところ黒岳石室、白雲岳避難小屋の水場は問題なく確保できますが、9月になるとかなり厳しくなると思われますので、これから縦走や小屋利用を予定されている方は、事前に各関係機関等に問い合わせしてから登山されるようにしてください。

*白雲岳避難小屋周辺の水場では、特に早朝の水の確保が厳しくなっているので、水はできるだけ前日に確保するようにしてください。

写真:黒岳石室の水場雪渓(8/17)

秋深まる

 立秋を過ぎて山ではいちだんと秋が深まってきています。緑岳の稜線ではイワギキョウやミヤマリンドウなどの青い花が勢いを弱め、クモイリンドウが咲いてきました。白雲小屋ではきのうの最低気温が4℃、裏旭キャンプ指定地では薄氷が張ったようです。下界はまだまだ夏ですが、山へ入るときには防寒対策もシッカリと!

[開花状況]
(緑岳稜線)
イワギキョウ↓、ミヤマリンドウ↓
(白雲小屋周辺)
クモイリンドウ◯、イブキトラノオ◯
ダイセツトリカブト◯

写真:岩陰で羽をひろげるカラフトルリシジミ(緑岳斜面)。

クマはいます

 お客さんからの問い合わせでけっこう多いのが「クマはいますか?」という質問。もちろん「クマはいます」。ただしクマもヒトが恐いので、登山者が大勢いるような場所にノコノコ出てくるようなことはまずありません。
 経験を積んだ個体は、菜食中にヒトの声や足音がすると、サッとヤブのなかに隠れ、やり過ごしてから元の場所に戻ってまた食べ始めることもあります。ところが経験不足で好奇心も強い若い個体のなかには、ヒトを恐れず、興味を示す個体もあります。
 去年の秋、緑岳の登山道で、登山者とヒグマが出会い頭に遭遇し、ヒグマ撃退スプレーを噴射した登山者が、逃げるときに転倒して肋骨を折るという事故がありました。このときのクマは、好奇心の強い若い個体であったのではないかと思われます。
 大雪山にはどこにでもヒグマがいます。ただし人間の側が、声を出したりクマ鈴を鳴らしたりして、「お邪魔してますよ」というサインを示せば、ヒグマはサッとその場を去って、私たちがいなくなるまで待ってくれるます。大切なのは、クマのいる場所に来ているのだという意識を常に持つこと。過剰反応をする必要はありませんが、そのことを常に意識して山に入りましょう。

[開花状況]
(高原温泉)
ヨツバヒヨドリ↑
(第一花畑)
シラネニジン↑
(第二花畑)
ハクサンボウフウ◯
チングルマ(綿毛↑)

写真:緑岳斜面下部に立てられた、ヒグマに注意を喚起する看板。

クモイリンドウ

 白雲岳避難小屋周辺のクモイリンドウが見頃となりました。今年は7月30日に開花がはじまり、8月6日までに半数以上が咲いてきました。昨年と比べると花数は、やや少ないですが大雪山の花のトリを務めるには十分の風格です。

【開花状況】(白雲小屋周辺)ダイセツトリカブト○、チシマギキョウ↓、リシリリンドウ↓、ミヤマリンドウ○

写真:白雲岳避難小屋のクモイリンドウ (8/6)