初雨

 初雨がそぼ降ります。雨に濡れたダケカンバの枝先はいっそう赤みを増したように見えます。
 国道沿いの斜面ではあちこちで小さな雪崩が起きていて、その下からは、久しぶりに雪の重みから開放された青い笹がバサバサと頭を出しています。棚からぼたもち。喜んでいるのはお腹を空かせたエゾシカたちで、こうしている今も、ゾロゾロと斜面に出歩いて、ひたすらあぐあぐと草を食み続けております。
 紅葉谷に行けばフキノトウもすでに5つ6つは顔を出し、3月になってからは春がどんどんこちらに向かってくるようです。このまますぐにでも春になってしまいそうな勢いに、氷点下20度を下回ったあの2月の酷寒の日々も「そういえば寒かったっけね~」と思い出話しになりそうな今日日ではありますが、いえいえ、そうは問屋が卸さない。

 写真:エゾシカの親子(紅葉谷)

黒岳

 9日の黒岳石室周辺のようすです。積雪は3メートル程です。先月よりも周辺の積雪は増えました。(先月、頭が見えていた分岐標識が今回は埋まっていて見えなかった)
 とはいえ多いとはいえず、相変わらず石室の屋根は出ており、山頂からポン黒岳にかけての登山道はほとんど積雪がありませんでした。そしてとくに目立ったのが黄色い雪。9合目から稜線一帯にかけて、黄砂で黄色くなった雪がまだら模様を描いていました。
 この日は地吹雪がひどく、稜線はおろか石室でもグルグルと風が巻き隠れる場所も見つからない。おまけに、西風に乗ってお鉢平からは強烈な硫黄臭が絶えず流れてくるわで、一息つく間もなく山を下りました。

 【9日の積雪】5合目 170センチ
        7合目 320センチ
       (*7合目は昨年同時期とほぼ同じ)

 写真:黒岳石室より(後ろは烏帽子岳 3/9)

雪崩発生

 本日ついに最高気温がプラスに転じました。いきなり驚きの5℃を記録し、午後5時を回った現在も4℃と暖かく、モヤ~と気持ち悪い風が吹いています。
 昨日からの強風とこの緩みのせいで、黒岳沢で幅約50メートルに渡る全層雪崩が発生していました。春山の季節です。スキーや登山の際は、地形や雪の状態を十分確認し行動してください。とくに黒岳2合目周辺の斜面では、毎年雪崩が発生しています。ロープウェイ駅舎やビジターセンターで情報を入手してから入山するようにして下さい。

 写真:黒岳沢の雪崩(3/9)

黒岳は1984メートル

 四方の雪に跳ね返された日差しがギラギラと眩しく、この風さえなければ「春ですねぇ」とつい言ってしまうところです。朝から風が強く、雪煙に巻かれた黒岳の上を雲がごうごうと流れていきます。今日の最高気温は0℃。おしいところで今日もプラスには至らず。
 さて先日、国土地理院が道内の三角点約1万5千ヶ所の標高の改定(5月1日より改定)を発表し、それにより旭岳は65センチ高くなりました。四捨五入で1メートル。これからは2291メートルです。黒岳はというと、今のところ増減はなく1984メートルです。

 写真:黒岳(5合目より 3/8)

石垣山

 桟の上をこそっとテントウムシが歩いていました。暦を見てそうか明日は啓蟄だと気付き、外に出るとダイヤモンドダストが舞っていました。
 
 日曜日の観察会で石垣山を訪れました。名前のとおり、山頂付近には約100~200万年前の溶岩の露頭が石垣を積んだようにそびえています。その昔、石狩川探検の途中に間宮林蔵が立ち寄ったとも言われており、そのときに野宿したという岩穴が登山道近くの岩壁に残っています。
 麓の森は樹の種類も豊富で、冬芽の観察には格好の場所です。頭上では、もうハルニレやオヒョウの花芽がぷくっと丸く膨らんでいました。キタコブシやホオノキも多く、5月はお花見が楽しみです。今週は春が少しこちら寄りになりそうです。

 写真:石垣山(3/2)