風のちから

 「山の上の雪はどれくらい?やっぱり少ないの?」と、春山あるいは夏山に向け、問い合わせも徐々に増えてきました。
 4月に入ってから何度か降雪がありましたが、晴れて気温が上がる日が多く、黒岳石室周辺の積雪は先月とあまり変わっていませんでした。それでも昨年の同時期と比べると少ないようです。「石室は」という前置きがあるのは、場所によって積雪の具合が違うからです。風向きなどの影響で、ある年の積雪がA場所では例年より少なかったけど、B場所では例年より多かったというように、山の積雪量は一律して多い少ないと言い切れない事もあります。
 こうしてみると、風というものはつくづく重要な要素だと思います。風上と風下があって、雪が吹き飛ばされる所と吹き溜まる所がある。高山植物もそんな極端な環境の違いをすみわけて、それぞれの群落をつくっています。山に白と黒のコントラストが現れるようになると、それがよくわかります。

 5合目積雪/105センチ
 7合目積雪/250センチ(6日比20センチ減)

 写真:ポン黒岳より石室・北鎮岳方面(4/16)
     このコントラストも、たった一度の降雪で
     いつでも白一色の世界に逆戻りする

水芭蕉

 春寒とは正しく。
 雪降りの寒い一日です。雪解けの早さに誘われ、道路っ淵でそろっと咲き始めたミズバショウも、また雪帽子をかぶってしまいました。
 清川水芭蕉園のミズバショウも、もうポツポツと白い頭がのぞいています。天気がいい日は、たった一日ニ日見ない間にも、ぐんぐん花が伸びているのでびっくりします。例年は5月の連休頃が見頃ですが、今年は少し早くお花見ができるかもしれませんね。

 写真:ミズバショウ(高山周辺 4/12)

北へ帰る

 北へ帰る白鳥の群れが通り過ぎていきます。藤色の空に声を上げ行く隊は、なぜあんなにも整然としているのでしょうか。
 陽が落ち、星が輝き始めてもコゥ~コゥ~と鳴き声がするので、暗い中をいったいどうやって飛ぶものかと不思議に思っていましたが、星の位置や地磁気などを頼りに渡ると聞き、ますます感心するばかりです。
 ところで、この冬は上川でキレンジャクの姿をほとんど見かけませんでした。去年は5月になってもなかなか旅立たず、しばらくご近所の餌台を突付いていたのに、今年は全くのスッカラカンです。そうしたら先週になって、ようやく一羽がフラリとやって来たそうで、鳥なりにも礼を欠いては失礼と挨拶に来たのかも?

 写真:V字編隊(上川 4/9)

黒岳九十九沢

 3月のツケでもないでしょうが、4月になったとたん雪がよく降ります。
 今日は黒岳で観察会を行いました。「大雪山麓を歩く」と題し、前回の石垣山に続き、今回は黒岳中腹にある九十九沢源頭部を目指しました。出掛けは上川から層雲峡へ近付くにつれて、大きなぼたん雪がもさもさと降り出し、内心参ったな~と思いましたが、今日は幸いでした。雪雲は案外低いところに停滞していて、3合目あたりで雲の上に出ると、後光のように日が差し始め、銀嶺の尾根を間近に望むことができました。
 この2日間で、5合目7合目は約30センチの新雪が積もりました。現在積雪は5合目で135センチ、7合目で270センチです。

 写真:「下りは楽し~い」

スクスクと

 このごろは野山へ出かけるにも、まず頭の中で歩くコースをシュミレーションしてみます。里山も南側の傾斜地はほとんど雪がなくなって、今までのようにスノーシューで好き勝手に歩けなくなったからです。けれど来た道をまた戻るのもつまらないので、多少の笹藪なら手で払いのけながら強引に突破してしまいます。センターいちダニ嫌いのK氏は、そんな私を信じられないといった目で見ているようです。
 雪解けがすすんだ林下では、フッキソウの濃い緑が足もとを覆い、ナニワズは小さな黄色い花を咲かせています。ギョウジャニンニクも落ち葉を突き破ってスクスクと伸びていました。昨年より2週間近く早いようです。
 頭から背中からすっかり土埃まみれだということには、帰ってから気付きました。念入りにダニのチェックをしたのは言うまでもありません。
 
 写真:ギョウジャニンニク(上川 4/3)