とけた!

 やや足踏みしたとはいえ、それでも雪解けはまだ早い。
 とくに、中腹部7合目8合目は見る見るとけて、7合目標柱は半分、8合目標柱は完全に現れました。去年と比べると2週間からそれ以上の進み方です。9合目も標柱とベンチが出て、やはり雪解けは早いのですが、7・8合目ほどの進み方ではありません。何だかいつもの年と逆転している感じ。
 9合目マネキ岩付近は例によって急斜面。雪が締まっているので登るにもキックしながら一歩一歩。上から見下ろすと深い谷に吸い込まれそう。山頂直下は登山道が出てきました。足元のショウジョウバカマが可憐です。ルリビタキやノゴマ、カッコウの声もあちこちから聞こえてきます。春ですね~。

 写真:「急っ!」
    (9合目マネキ岩付近 5/31)
     写真左下隅の小さな影は人物

コメバツガザクラやらウラシマツツジやら

2008年5月31日(その2)

 さて、今年は高山植物の開花も早いのか?とても気になるところです。目下、山頂稜線は去年と比べ2週間ほど早い雪解けですが、開花時期はどうでしょう。
 山頂からポン黒岳の間で、いちばん開花が進んでいたのはコメバツガザクラ。ウラシマツツジやガンコウランはまだほとんど蕾。ちゃんと咲いているのはごくわずかです。ミネズオウもピンクの蕾。花はないかと這い蹲って探したら、登山道沿いで2輪咲いていました。
 正直、幾分早いかなとも思いましたが、雪解けの早さのようにびっくりするほど開花が進んでいるという印象はあまりありませんでした。
 振り返れば、5月後半は気温が低い日が続き、山は何度か降雪がありました。黒岳山頂のように、冬でも雪があまり積もらない風衝地に生育する植物の開花には、温度条件が大きく関わってきます。そのため、これらの開花が思うほどには早まらなかったのでしょうか?

 写真:ウラシマツツジ蕾と花
   (後ろは北鎮岳 5/30)

黒岳のサクラ

 
 
 黒岳5合目高松台で、チシマザクラが咲き出しています。例年黒岳の桜が開花するのは6月上中旬頃。今年は先週22日に最初の蕾がほころび、約2週間も早い開花となりました。やっぱり暖かかったんですねぇ・・。
 今はまだ蕾も多いので、来週までゆっくりお花見ができそうです。

 
 写真:チシマザクラと黒岳(5/29)

クマゲラ

 クマゲラの抱卵が始まっています。順調にいけばもう間もなく雛が孵る時期です。
 クマゲラの産卵は5月頃行われます。卵が産まれると、オスとメスは交代で約2週間卵を抱き続け、雛が孵ります。雛への給餌もオスとメスが交代で行います。雛は6月下旬頃に巣立ちますが、その後もしばらく親と一緒に過ごし、秋頃独り立ちします。
 さて、警戒しないように離れて観察を続けていると、オスが戻ってきました。「おーい、交代だよ~」。巣の入り口で中を覗くオス。てっきりオスは、メスが巣から出てくるのを待ってから、中に入るのだと思っていました。メスのときは、ちゃんとオスが出るまで外で待っていたからです。ところがオスは、それが待ちきれなかったのか、メスが出る前に強引に中に入ろうとします。メスはメスで外に出ようするけれど、入り口を塞ぐオスが邪魔。
 仕方がナイ。メスはオスの背中をむんずと踏み台にして、素っ飛ぶように行ってしまいました。

 写真:クマゲラ雌(5/24)

冬虫夏草?

 カッコウも鳴いたことだし、新しい緑でも植えようかと庭を穿り返していたら、土の中から思わぬものが転がり出てきました。萎びた幼虫からにゅ~っと伸びる怪しげな物体。こ、これはもしかして、あの有名な昆虫などから生えるというキノコ、冬虫夏草?
 この不思議なキノコは子嚢菌類に属する寄生菌で、種類によって寄生する昆虫などはそれぞれ違います。そういった虫に寄生する菌類をまとめて「冬虫夏草」というのかと思っていましたが、調べてみるとじつは狭義の冬虫夏草とは、チベットなどに生息するある種の蛾の幼虫に発生する一つの種を指すのだそうです。残念、ここはチベットじゃないし、そんな蛾もいません。
 さてさて、セミにカメムシ、アリにトンボ・・菌は生きた虫たちの体内に菌糸を伸ばし、やがて体中菌糸でいっぱいになった虫は死んでしまう。菌はさらに地上へ向かってキノコを伸ばし、胞子をばらまき、ここに目的を果たすのでございます。
     
           ~ホラーなキノコたち

           写真:虫草(5/23)