ヤナギの勘違い

 太陽が昇ってしばらくすると、鳥たちがやって来て木々に積もった雪をふり落としていきます。その柳の枝先を見ると、ほころびた冬芽から銀色の絹毛がポンポンと顔を出していました。
 いくら早春から芽吹く柳の種類とはいえ、褐色の冬芽が割れて、中から絹毛が覗き始めるのは普通3月、4月頃からです(上川近郊)。2月末頃でも日中暖かくなると、せっかちな絹毛姿を見かけることがありますが、今はさすがに季節外れ。一定の低温にさらされ、その後に暖かくなると初めて開花する桜のように、「春が来たセンサー」が作動し芽吹いてしまったのでしょうか。それともひとときの陽射しにただ早とちりしてしまったのでしょうか。
 冬はこれから深まるばかりです。すっかり萎れた残り葉が、枝にしがみつき風にブルブル揺れていました。

 写真:エゾノキヌヤナギ(陸万 11/29)

雪面の軌跡 その2

 まだヒグマは冬眠していないようです。
 日中は比較的穏やかな日が続いています。眠りに付くには早いと歩き続けるヒグマたち。冬眠前ギリギリまで脂肪を蓄えなければなりません。
 エゾシカ猟の標的になったエゾシカの血痕を追いかけ、足跡は沢を渡り森の奥へと消えていきました。

 写真:ヒグマの足跡(11/25)

雪面の軌跡

 雪が地面を隠すようになると、逆に見えるようになるものがあります。これは雪面に残されたミヤマカケスの3つの軌跡です。足跡とくちばし、そして翼の跡。
 推測するとこうです。・・・トドマツの林にお腹を空かせたミヤマカケスがいました。おっと雪上に美味しそうなもの発見。狙いを定め、両の肢で綺麗に着地、ぴょんぴょんと2歩、パクッと啄ばむと飛び去っていきました・・・。
  
 写真:写真右端が着地点、足跡の先に嘴の跡
              (11/23)

黒岳スキー場オープン

 ようやく7合目の積雪が90~100cmに達し、本日黒岳スキー場がオープンしました。積雪不足のため今日まで延期になっていましたが、もちろん天然雪のスキー場としては日本一早いオープンです。テープカットの後、早速スキーヤーやボーダーがしゅ~っと気持ち良さそうにシュプールを描き、初天然雪を楽しんでいました。スキー場のオープンを待って、ここ数日間センターで時間潰し・・・、いえいえ遊びに来てくれたお客様も、今日は朝からスキーを担いでロープウェイに向かう姿が見えまして、いや~良かったですね~。
 それにしても、ほぼ予定通りのオープンとなった昨年を除くと、ここしばらくは積雪不足の為にオープンがずれ込む年が少なくないような気がします。その原因に気候の変動があるのでしょうか?

 写真:黒岳5合目(11/20)

再生

 裏のシナノキが雪の重みで倒れ、林道を塞いでしまいました。嗚呼ついに倒れたか~と横たわる幹を潜り抜けると、キノコの硬い笠が頬をこすりました。
 その木にはもうずっと以前からサルノコシカケ(の仲間)が生えていて、キノコに摂りつかれてしまった幹は傍目から見てもぼそぼそと元気がありませんでした。キノコには木材腐朽菌と呼ばれるグループがあり、枯れた木や生きた木を腐らせます。サルノコシカケと総称される硬いキノコの仲間や椎茸、ナメコなどはそのグループです。
 春になって野山に出かけると、倒木や大きく折れた枝をよく目にします。それが馴染みの木だったりすると、とても寂しく思うのですが、年老いて弱った木が菌類によって分解され、こうして朽ちていくのは新しい森を再生する上でとても大切なシステムです。もし分解してくれる菌類がいなければ・・・。想像してみて下さい。数多の遺骸で溢れた世界を・・・。

 写真:シナノキについたサルノコシカケの
仲間 (11/17)