七賢峰の滝

先週の日曜日に観察会を行いました。「大雪山麓を歩く」の第2回目、目的地は七賢峰の滝です。
 国道39号線四の岩覆道付近から、冬期間は青く結氷したその姿を望むことが出来ますが、夏は茂った樹々に隠れて国道から眺めるのは困難で、冬ならではのコースのひとつです。
 滝の名の由来は中国の「七賢人」にたとえて付けられ、付近には七賢を思わす奇岩が聳え立っているので、「へ~」と思われた方は数えてみてください。(もちろん運転中でないときに)
 今回、滝までは陸万を起点に石狩川に沿って片道約2キロを歩きました。普段は車でビュンビュン走り抜けてしまう、そこを本来のヒトの持つスピードで歩くと、知っている(と思っていた)はずの景色がまるで違って目に心に飛び込んできます。車中からいつも見ていたトドマツ、エゾマツ、ドロノキ、カツラ、ヤチダモ、シナノキ、ハルニレ、ミズナラ・・・挙げたらきりがありませんが、それぞれがなんと立派なことか!国道からワープして巨木の林に紛れ込んだみたいです。不思議な感じがしたのはもうひとつ理由があります。増水や氾濫などの影響を受ける河畔林は立地が不安定な為、成長の早いヤナギ類やケヤマハンノキなどが主な構成樹種になります。もちろん針葉樹など他の樹種も見られますが、若木が多くなります。それなのに、さきに挙げたように成熟した巨木が多く見られたのです。河畔林とはいえ山側周辺に発達し、石狩川からは案外距離がある為、樹々にとって安定した環境だったのかもしれません。詮索より何よりその大きさが証明しています。
 さて、肝心の滝はどうだったのか?足場の悪い場所を越えて視線を上げた瞬間、「うお~~~っ、青い~」と嬉しい大歓声が上がりました。氷から苔の先を伝わり、膨らんでは落ち膨らんでは落ちる滴に見つけた今日の春でありました。

写真:七賢峰の滝 (3/7)

ふきのとう

ふんわりと積もった今朝の雪は、昨日までの雑多な足跡を覆い隠すのに丁度良く、雪原はまた新しくリセットされておりました。
 緩んだ谷間から落ちた茶色い雪崩跡も、純白のブロックに生まれ変わり、顔を覗かせたフキノトウの一歩手前のところでかろうじて留まっています。フキノトウはフキノトウで、己に振りかからんとしていたそんな一切に関しても、何事もなかったかのように、ただ空に向かって花を開かんとしています。
 雪の下から顔を出したての頃のフキノトウといえば、まだ緑というよりは黄色味の勝る萌黄色をしていますが、3月とはいっても、まだ氷点下まで冷え込む日は続きます。それも承知の上、花の衣は霜に焼けすっかり茶色くなっても、春を待つ姿というものはたくましいものです。

写真:フキノトウ(3/4 層雲峡)

柳も

2月もとうとう今日で最後になりました。明日からは3月。今週は急に暖かくなったおかげで、あちらこちらで柳の絹毛が目立つようになりました。ぽんぽんと膨らんだ繭玉のような絹毛を見ていると、春の序章を感じる思いがします。ちょっと気早かもしれません。
 前日に緩んだ雪原は朝の冷え込みでカチコチです。こんな日は目覚まし時計などなくてもひとりでに目が覚めてしまいます。固雪歩きが待ち遠しいのです。つぼ足でも十分。スノーシューをお守り程度に履いて自由気ままにエゾリス(ここは可愛く)になった気分で森を歩き回る気持ち良さは堪えられません。空の色がピンク色からオレンジ色へそして白々としてくるまで、お腹の虫がぐうとしつこく催促するまで、仕事の待っている家路などへどうして戻れましょうか!

写真:柳の絹毛(層雲峡 2/28)

光の春

只今なんと11℃。今年の最高気温です。
 いつ落ちるかいつ落ちるかと、そそくさと通過していた屋根の下。しつこく乗っていた氷と雪の固まりもこの陽気には耐えきれず、ドシ~ンとそれこそ地響きを立てて、ついに落ちたか。お昼休みはつるはし片手に総出で氷割りです。
 石狩川の岩の上の雪帽子も今日はとろんととけたおもちのようです。光の春、風は冷たくピューピューないても日差しは少しずつ力を増していきます。
 さて明日は雨の予報が出ています。この分だと道路は洪水?

写真:石狩川に出来た冠雪(雪帽子) 
             2/25

陽気にキョロロロロ~

2月のこれまでの寒さを思えば、うららかな日和と言いたくなるようなお昼でした。気温は4℃。国道の雪もとけ出し、ザブザブ水しぶきを跳ね上げ走る車に、ちょっと歩くのも躊躇してしまいます。
 二羽のヤマゲラがキョロロロロ~キョロロロロ・・・と独特の尻下がりの節まわしで鳴いていました。こちらからはメスの一羽しか見えません。向こうで鳴いているのはオスでしょうか。何となく郷愁めいた感覚を覚える声で、好きな鳥の鳴き声です。
 ヤマゲラはキツツキの仲間です。木の枝が交差する森の中を飛ぶキツツキは障害物の多い森の中で、自在に方向を変えて飛ばねばなりません。このため、翼は短く丸く、樹に着地するときもコントロールが利きます。空という波に乗るキツツキはとても機能的で、それがとても美しく見えました。

写真:ヤマゲラ (層雲峡 2/24)