天狗の引臼岩

 紅葉谷の絶壁の上に、まるで誰かが運んだようにポンと四角い大岩が乗っています。火山灰質の岩が風化していく過程で取り残されて出来たこの奇岩は、「天狗の引き臼岩」と呼ばれています。層雲峡にはこのような奇岩がたくさんあり、ダイナミックな峡谷美を造っています。
 今日は観察講座「大雪山麓を歩く」でこの天狗の引臼岩まで行きました。初め、参加者のみなさんも「えっ!あそこっ!」とちょっとびっくりのようす。夏は道がないので行けませんが、スノーシューならば道なき道も。絶壁の上は吹きさらしで、おしりがムズムズするような高さです。が、そんな厳しい岩場でも、アカエゾマツやトドマツは根を下ろし、ハクサンシャクナゲやムラサキツツジはたくさんの冬芽をつけていました。
 人知れず。春が来て、花が咲いても眺めることはかないませんが、それを想像する楽しみはひとつ増えました。

 写真:天狗の引臼岩へ(中央奥の四角い岩)