緑岳コースの開花状況

高原温泉から白雲岳避難小屋

 高原温泉から松浦岳(緑岳)へむかう登山道はほとんど残雪がなくなりました。緑岳稜線から白雲小屋への近道である板垣新道の底部にはまだ残雪が多く残っていますが、アイゼンは必要ありません。
残雪状況
第一花畑端部:登山道上は消失
第二花畑:消失
第二花畑上:尾根乗越付近に3m エイコの沢寄りに15m
板垣新道底部:中州が露出しているが、それ以外はほぼ全面雪

 第一花畑からエイコの沢ガレ場にかけてはエゾコザクラがきれいです。稜線では、開花のピークは過ぎたもののエゾツツジがまだ咲いています。チシマギキョウはここしばらく見たことがないほど花が多い印象です。
開花状況
第一花畑:エゾコザクラ○ ミヤマリンドウ・シラネニンジン・ハクサンボウフウ・ヨツバシオガマ↑
第二花畑:チングルマ・ハクサンボウフウ↓ エゾコザクラ○ アオノツガザクラ・ミヤマリンドウ↑
第二上~エイコの沢ガレ場:エゾコザクラ・チングルマ○ アオノツガザクラ・ハクサンボウフウ・ミヤマキンバイ↑
緑岳山頂~板垣分岐:イワブクロ・コマクサ・チシマキンレイカ・エゾツツジ↓ チシマギキョウ◎ ヒメイワタデ・エゾタカネツメクサ・チシマツガザクラ・イワブクロ・クモマユキノシタ・サマニヨモギ・ムカゴトラノオ・エゾイワツメクサ↑
板垣新道:チングルマ・ミヤマアズマギク↓ エゾウサギギク・ヨツバシオガマ・ミヤマリンドウ↑
白雲小屋:キバナシオガマ終 ミヤマアズマギク・チシマキンレイカ↓ チシマギキョウ◎ ムカゴトラノオ・エゾタカネツメクサ・シラネニンジン・オオハナウド・ウスユキトウヒレン↑
白雲小屋テント場~水場:エゾノリュウキンカ終 ウコンウツギ・エゾヒメクワガタ・トカチフウロ↓ ミヤマバイケイソウ〇 ミヤマキンポウゲ・チシマノキンバイソウ・ヨツバシオガマ・エゾウサギギク・タカネトウウチソウ・イブキトラノオ↑

写真 白雲小屋のチシマギキョウ 7/27

注意喚起

白雲小屋周辺を徘徊しているヒグマに注意

 ここ数日、白雲分岐や白雲小屋周辺でヒグマの目撃情報が相次いでいます。

 本日も白雲小屋のテントサイト裏でヒグマ一頭を確認しました。白雲小屋スタッフのお話では朝から小屋周辺を徘徊していたようですが、午前10時頃小屋に到着すると、テントサイトのすぐ近くにいるのを確認しました。

 ヒグマはテント場裏から水場を通り、登山道を横切って移動していきました。白雲分岐方面から登山者が近づいていたので、こちらもクマと距離をとりつつ観察し、登山者をやり過ごしてから、さらに白雲分岐方向へ向かいました。登山道上で上と下からヒトにはさまれる形になると、ヒグマは下方の人を攻撃する可能性があり、大変危険です。それを回避するための行動です。

 ヒグマは登山道から50メートルほどの距離をとりながら斜面をトラバースし、ヤンベタップ川源流部の雪渓を登り、白雲分岐のすぐ下で登山道を横切って、登山道脇の窪地でハクサンボウフウを食べたあと、小泉岳方向へ去っていきました。11時ちょっと前でした。

 この間、ヒグマはこちらの存在に気づいているにもかかわらず、逃げることもなく、悠然と採食活動を続けていました。白雲分岐下のお花畑では、すぐ近くの登山道から鈴の音や登山者の会話もよく聞こえていました。

 食草のハクサンボウフウもまだじゅうぶんありますので、この個体はこのあと周辺に居着く可能性があります。いちばん気になるのは、ヒトの側が音を立てるなどして、こちらの存在を知らせているのに、全く気にする風がない点です。

 こいう個体に対しては、とにかくヒトの側が注意するしかありません。見通しのよい稜線上では常に周辺を見渡すようにし、見通しの悪いハイマツ帯では音を立てながらゆっくり歩くことを心がけてください。トレイルランのような登山道上を走る行為はリスクを高めますので、なさらないようにお願いします。

写真 水場の近くでようすをうかがうヒグマ(白雲岳避難小屋) 登山道を横断するヒグマ(白雲分岐下) 7/27

赤石川方面

黒岳石室から赤石川に向かう登山道ではチングルマが見頃を迎えています。小さいながらもまとまって咲いている箇所が多く、とてもきれいです。登山道から少し離れた場所ではエゾコザクラが群落を形成しており、斜面いっぱいに紫色が広がっていました。同じ場所にミヤマキンバイも咲いており、紫色と黄色のコラボレーションがすてきでした。

〔赤石川の渡渉について〕
前日の雨の影響で、赤石川の水量が増えているのでは思い見に行ってみましたが、水量は少なく、蛇カゴも露出していて、まったく問題なく渡渉できました。
しかし、日々状況は変化することを念頭に、万全の装備でお願いします。

写真:チングルマ、エゾコザクラ、ミヤマキンバイ(赤石川周辺)

雲の平方面

雲の平では、チシマツガザクラが大群落を形成していました。歩いていると次々と現れるチシマツガザクラ。右も左も、どこを向いてもチシマツガザクラの大群落で、思わず感嘆の声をあげてしまいました。

雲の平の登山道脇に咲いていたチングルマは花が終わり、綿毛に移行していましたが、雪解けが遅かった奥の方では群落を形成して白い絨毯のようになっていました。まだまだチングルマのお花も楽しめそうです。

〔熊の目撃情報〕
午前9時頃、お鉢平展望台下の登山道に親子の熊がいたそうです。目撃した人の話では、登山道で30分ほどずっと動かずにいて(日なたぼっこ?)、その後、横に逸れて赤石川の方へ移動したそうです。21日、22日、23日と同じ親子熊が雲の平や北海沢で目撃されています。
万全の装備で、十分注意して登頂なさってください。


写真:チシマツガザクラ、チングルマ(雲ノ平周辺)

黒岳北東斜面

黒岳の北東斜面では、まだまだチシマノキンバイソウがきれいに咲き誇っています。特に、山頂下では群落を形成しており、見応えがあります。

長い間蕾だったナガバキタアザミやチシマアザミの花が咲き始め、ダイセツトリカブトも開花しました。オニシモツケやミヤマアキノキリンソウ、ハイオトギリも続々と開花し、範囲を拡げています。
黒岳ではまだ夏のお花も見頃を迎えていますが、季節は秋のお花に移り変わっています。


黒岳七合目から山頂までの間でたくさんの落とし物・忘れ物を見かけました。タオル、手袋、シャツ・・・。休憩時に置き忘れないようにお気をつけください。

写真:チシマノキンバイソウ、ダイセツトリカブト(黒岳山頂下)