残雪は消失

赤岳登山道

 赤岳登山道は、第二花園に大きく雪の斜面が残っているほかは、登山道上に雪が残っている箇所はわずかです。アイゼンを携行する必要はありません。

残雪状況
第一花園:消失
第二花園:ほぼ全面雪(写真参照)
第三雪渓:ほぼ消失
第四雪渓:消失

 小泉平では大半の植物が開花のピークを過ぎました。あとは、チシマギキョウやクモイリンドウなどの遅咲きの花を待つばかりです。
 第三雪渓から第四雪渓にかけてはチングルマが見ごろになってきています。コマクサ平ではコマクサが開花のピークを過ぎました。

開花状況
第一花園下:エゾツツジ終 ゴゼンタチバナ↓ エゾノレイジンソウ・ウメバチソウ・ミヤマカラマツ・ヨツバシオガマ・ハクサンボウフウ・エゾウサギギク・マルバシモツケ↑ ミヤマアキノキリンソウ始
第一花園周辺: ウコンウツギ○ アオノツガザクラ・ミヤマキンポウゲ・チングルマ↑
第二花園下:チングルマ↓ エゾコザクラ○ ヨツバシオガマ・マルバシモツケ↑ ミヤマリンドウ始
奥の平: エゾコザクラ・ミヤマキンバイ↓ チングルマ○ アオノツガザクラ・コエゾツガザクラ・エゾヒメクワガタ・ヨツバシオガマ・マルバシモツケ・ハクサンボウフウ↑
コマクサ平:イソツツジ終 コケモモ・コマクサ・エゾツツジ↓ エゾノマルバシモツケ・チシマツガザクラ・イワブクロ・シラネニンジン↑
第三雪渓下:ウコンウツギ終 ミヤマキンバイ・エゾコザクラ↓ アオノツガザクラ・ハクサンボウフウ・エゾヒメクワガタ・チングルマ↑ エゾノミヤマアザミ・エゾウサギギク・ミヤマアキノキリンソウ始
第三雪渓周辺: コマクサ・エゾノツガザクラ・イワヒゲ・キバナシャクナゲ↓ ジムカデ・エゾコザクラ○ エゾノマルバシモツケ・チングルマ・アオノツガザクラ・コエゾツガザクラ↑ イワギキョウ始
第四雪渓周辺:ミヤマキンバイ・アオノツガザクラ・エゾノツガザクラ・エゾコザクラ↓ エゾヒメクワガタ・チングルマ○ ヨツバシオガマ・ハクサンボウフウ↑
赤岳~小泉分岐:エゾノツガザクラ終 チョウノスケソウ・メアカンキンバイ・ミヤマキンバイ・ チングルマ・イワヒゲ・キバナシオガマ・チシマキンレイカ・コマクサ・タカネスミレ↓ ヒメイワタデ・クモマユキノシタ・イワブクロ・エゾタカネツメクサ・エゾノマルバシモツケ・ヨツバシオガマ・ミヤマリンドウ・エゾイワツメクサ・エゾツツジ・ムカゴトラノオ↑
小泉平:ミヤマキンバイ・キバナシオガマ・チョウノスケソウ・タカネスミレ終 チシマキンレイカ・ミヤマアズマギク・コマクサ・イワヒゲ↓ エゾイワツメクサ・エゾタカネツメクサ・クモマユキノシタ・リシリリンドウ・エゾツツジ・イワブクロ・ヒメイワタデ・レブンサイコ↑

写真 赤岳第二花園  第三雪渓 7/14

お知らせ

松仙園登山道

 松仙園登山道がことしも7月14日から利用可能となりました。開通期間は9月30日までの二ヶ月半になります。従来どおり一方通行のコースなので、ルールに従ってご利用ください。今季は雪解けが早く、コース上に残雪はありません。すでにコバギボウシ(タチギボウシ)が咲き始めています。おもな注意点は以下のとおりです。

・林道部分は蚊が多いので、虫よけスプレーがあったほうがいい。
・下部樹林帯は泥濘がひどい場所があるので、歩きなれている登山者は長靴のほうが歩きやすい。
・湿原に外来種が入り込むのを防ぐために、入口ゲートに備え付けのブラシで、靴底の泥を落としてから登山道に入る。
・ヒグマの生息地でもあるので、鳴り物を携行するなど、クマ対策も怠りなく。

写真 松仙園・三の沼湿原 沼の平・半月沼 7/19

雲の平方面

雲ノ平のチングルマ。先週あたりまで、咲いてはいるけれどまばらな開花状況が続き、今年はもうこのまま終わってしまうのかしら・・・と諦めかけていました。しかし、ようやくまとまってきれいに咲いている状態を見ることができました。今が満開です!

チングルマは、石室周辺でもきれいに咲いていました。

今年まだチングルマの白い絨毯を目にしていない方は、ぜひ雲ノ平へ!

写真:チングルマ(雲ノ平周辺) 7/19

黒岳北東斜面

黒岳七合目から登り始めてすぐに、少し上の方から「うわ~、すごーい!」と声が聞こえてきました。そこまで行ってみると、目の前には雲海が!
風もなく、空は澄み渡るような青空の下で雲海を見ることができて、最高の朝でした。

黒岳はお花の入れ替わりが進み、ハクサンボウフウやマルバシモツケが目立つようになりました。他にも、ヤマブキショウマ、ハイオトギリ、ミヤマアキノキリンソウなども咲き始めています。

そんな中、今が最盛期と思われるのがチシマノキンバイソウです。九合目あたりから至る所できれいに咲いているのを見ることができますが、山頂下では群落になっており、まるで山吹色の壁のようでした。

すてきなお花を見に、黒岳にいらっしゃいませんか?

写真:黒岳北東斜面から眺めた雲海、チシマノキンバイソウ(黒岳)7/19

注意喚起

登山道上でのトレイルランに関して

 松浦岳(緑岳)登山道の通称「エイコの沢ガレ場」を登り切ったところから、登山道は水平部に入り、ハイマツのトンネルの中を通過します。とくに名前はついていないので、仮にこの場所を「ハイマツのトンネル」としておきます。
 きのうのお昼前、この「ハイマツのトンネル」を通過しているときに、藪の中でガサガサという物音がして、大型の動物が逃げていく音が聞こえました。見通しの良い場所まで出て、エイコの沢の右岸側を見ると、案の定、ヒグマが雪渓を移動していく姿が確認できました。
 この「ハイマツのトンネル」は、以前から、藪の中で物音がしたり、蟻を捕食するための掘り返しがあったり、登山者がヒグマとバッタリ遭遇をしたことがあり、移動や採食などでヒグマが利用している可能性が高いエリアです。きのうの場合も、こちらが手をたたきながら歩いていたのに気づいて逃げて行ったのだと推定されます。この場所を通過する際は、鈴やホイッスルを鳴らす、手拍子を打つ、声を出す、など、ヒグマにこちらの存在を知らせるような行動をとってください。

 とくに注意してほしいのは、トレイルランナーの皆さんです。
 きのうも、ヒグマを目撃した数分後に、第二花畑の木道上で男女のトレイルランナーに抜かれました。鈴もつけずに走り抜けていくこの二人を見て「これは危ないな」と感じました。
 ヒグマがいる可能性がある場所を、音もたてずに、しかも登山者の数倍のスピードで走るのですから、バッタリ遭遇の可能性はふつうの登山者より高くなります。仮に、トレイルランナーがヒグマの存在に気付かずに走り去った場合、「背を向けて逃げたものを追いかける」というヒグマの習性から、ヒグマに攻撃される可能性を高める結果につながりかねません。
 トレイルランニングについては、環境省北海道地方環境事務所から「大雪山国立公園の特別保護地区及び特別地域内の登山道では、イベント等として行われるトレイルランニング等の走行利用は行わないよう指導する」という基本方針が出されています。それによりますと、走行による踏付け等により植物の損傷等が著しい場合など、自然公園法で原則禁止とされている行為と同等の被害を及ぼすおそれがあること、静謐な原生自然での登山利用をはじめとする一般公園利用者の自然体験を損なうのみならず、不快感や落石などの危険を伴う恐れがあるためとされています。
 ヒグマ対策だけではなく、国立公園の環境保全や、ほかの利用者との軋轢を高めてしまう可能性も指摘されていますので、登山道上を走る行為は遠慮していただくようお願いします。


写真 エイコの沢ガレ場対岸の雪渓場を移動するヒグマ 7/16