ミズバショウ前線

 雨が降って湿った土のにおいがします。色彩のなかった地面にもフキノトウの優しい黄緑色がぽんぽんと顔を出しています。
 町の市街地のはずれにある39号線沿いの湿地には、ようやくミズバショウの白い頭がツンと伸びてきました。清川の水芭蕉園はまだまだ雪に覆われていて、例年4月下旬から連休頃にちょうど見頃を迎えます

とり事情

 昨日、デデポポが来ました。
「デ~デ~・ポッポ~」と抑揚をつけて鳴くはキジバトです。
 徐々に夏の鳥たちが戻ってきて、また野山は賑やかになっていきます。
 いつものように「固雪だかららくちん散歩」をしていると、喉を転がすようなキョロキョロキョロ~という鳴き声、黒い大きな影がシューッと横切りました。クマゲラだ!
 繁殖活動が始まりちょうどパートナーを探している頃です。甘えるようなクイ~ンという鳴き声は、何だか心がキュンと切なくなるよな感じ。クマゲラの雌ならきっと効果抜群に違いない。鳥たちの恋の戦略もなかなかどうして。
 写真はクマゲラが食事をしたあとの様子です。剥ぎ取った樹皮のパーツがさすがに大きい!こうやって中にいる昆虫を食べています。
 ところで昨日の北海道新聞に気になる記事が載っていました。旭川でスズメの謎の大量死が3件見つかったそうです。数十羽から100羽近くの単位で死んでいて、寄生虫以外にも各種感染症や化学物質中毒などの可能性も含めた幅広い死因解明を行うとのことです。ぜひ原因を突き止めて欲しいものです。
 ちなみに層雲峡温泉街ではほとんどスズメを見ることができません。スズメは人間とともに生活しています。それだけ層雲峡は人が少ないということ?!正しい理由はまたの機会に解明したいと思います。層雲峡にはスズメではなくニュウナイスズメが5~6月頃にやってきます。(スズメとニュウナイスズメは種が違います。後者はより森に近いスズメ)

春のしたく

 今日は、桜吹雪ではなく本当の吹雪の中の層雲峡小学校の入学式です。それが層雲峡らしいと。
 春の「虫出しの雷」ならずとも、春の陽射しの前にヒトも誘われるように外に出て活動したくなるのは自然の摂理。摂理に従い昨日、上川町旭ヶ丘のアンガス牧場までスノーシューで出かけました。
 ここからは、天気さえ良ければ大雪やニセイカウシュッペ、天塩岳までどーんと一望できます。のんびりするにはぴったりの場所です。夏は牧草地となる広大な雪原には、墨を流したように融雪材が撒かれ、どんどん春の支度が始まっています。
 春は近づいては後戻り。今日はその墨絵の大地もまた白く染め直されてしまいました。

絶景かな絶景かな

 今日は観察講座「上川十六景を歩く」で黒岳に行ってきました。今年度の最終回です。締めくくりにふさわしく絶好の天気。黒岳、烏帽子岳、赤岳の連なる山脈大パノラマに、心の奥がむずむずするような開放感はさすが大雪山の懐の深さと、しみじみ感じ入ります。黒岳の山頂を目指して歩く人影は下から見ると、小さな小さなひとつの点になり、ますます大いなる山を強調しているのでした。真っ白な頂の大雪山に、花々が咲き誇る姿を重ねれば夏の山の記憶が呼び起こされます。
 ビジターセンターの新年度の観察会行事予定は、5月中旬頃ホームページ等でご案内いたしますのでどうぞご覧ください。参加お待ちしております。

新天地

 よーく、見てみてください。
 これはダケカンバの老木です。年輪を重ね威厳があります。
「・・?」
 けれどこの緑の葉はまぎれもなくアカエゾマツ。
 びっくり、ダケカンバの樹からアカエゾマツが生えてきた!
 新天地を求め、風に飛ばされ旅に出たアカエゾマツの種が芽吹いた所はダケカンバの枝股でした。数え切れないほどの季節を生きてきた老木、試練に歪んだその御身は、雨に打たれいつしか苔に覆われ、風に吹かれ土ぼこりを被り、こうして小さな種のゆりかごとなりました。
 いつしか老木が倒れるそのときに、このアカエゾマツは地に根を張るのでしょう。