緑岳残雪状況

三笠新道

 大雪山グレード5の点線表示ルートである「三笠新道」は、ヒグマの採食地を横断するルートであるため、
ヒグマとの予期せぬ遭遇事故を避けるため、毎年ヒグマの定着が確認される7月初旬以降登山道を閉鎖しています。

 沼巡りコースや緑岳登山道周辺ではすでにヒグマの活動が確認されており、
昨日(7月2日)現在通行は可能でしたが、いつ閉鎖されてもおかしくない状況です。

 ヒグマ情報センターのホームページ(https://www.higuma-center.com/)で最新の情報を入手したうえで、入山してください。
ただし、入山しようとする当日に閉鎖になる可能性もありますので、予めご了承いただきたく存じます。

 なお、2016年の台風被害で現在右回りコース(ヤンベ分岐からヤンベタップ川沿いに空沼へ至るコース)は閉鎖されているため、
登行および下降の際も、左回りを利用してください。

 残雪期によく利用される、高原ピークからのショートカットは、すでにブッシュが出てきているため、
空沼手前の分岐から夏道沿いにコースに入るようにしてください。
まだ残雪が多く、ルートがわかりづらいため、GPSなどの携行をおすすめします。

 ①の写真ではうまく伝わらないのですが、最上部はスキーのジャンプ台ほどの傾斜になっています。
滑落にはじゅうぶん注意してください。
アイゼン・ピッケルの携行および、靴底のしっかりした登山靴(キックステップが出来る程度)を履くことを強くお勧めします。

 高根ヶ原分岐粉ではホソバウルップソウが見頃となり、
キバナシオガマやエゾノハクサンイチゲも咲きそろってきています(写真②)。

 緑岳の稜線ではイワウメが若干ピークを過ぎた感じですが、小泉平方面ではチョウノスケソウの開花が始まりました。
緑岳の第一花畑からエイコの沢ガレ場もでは、一部登山道が露出した箇所はあるものの、殆どが雪上歩行になります。
視界不良時は、雪上のマーカーをたどってルートを見失わぬようご注意ください。

 三笠新道~高根ヶ原~緑岳の周回コースは、早咲きの花を愛でるには絶好のルートではありますが、
しっかりとした装備と時間に余裕をもった登山をお願いいたします。

 また、白雲小屋のテントサイトでは、キツネによる被害が多発しています。食料の管理に十分配慮し、
テントを離れる際は、テント内に食料を残さぬようご注意願います。

開花状況
沼コース(空沼付近):タニマスミレ始
高根ヶ原分岐付近:イワウメ↓ ホソバウルップソウ◎ チングルマ・キバナシオガマ・エゾノハクサンイチゲ○ チシマキンレイカ↑
スレート平付近:イワウメ↓ メアカンキンバイ・ミヤマキンバイ・チシマキンレイカ↑ エゾオヤマノエンドウ・コマクサ始
白雲小屋下:ジンヨウキスミレ〇 エゾノハクサンイチゲ・キバナシャクナゲ↑
白雲小屋周辺:イワウメ↓ エゾオヤマノエンドウ〇 キバナシオガマ↑
緑岳稜線:イワウメ・ホソバウルップソウ・エゾオヤマノエンドウ〇 エゾハハコヨモギ・サマニヨモギ始

写真 ①三笠新道上部 ②高根ケ原分岐付近 7/2

赤岳コースの雪渓

 赤岳の残雪状況は、第一花園看板前の樹林帯は登山道が見えてきていますが、約73mの雪渓が残っており、
登山道も雪解け水が少し流れ込んでいます。また第一花園看板前から一部登山道が見えていますが約19mの雪渓があり、
看板から第一花園中間までは約70m、約104m、約64mの雪渓が途切れつつですが残っています。
急斜面なので、滑落に注意してください。

 また第二花園と奥の平は、ほぼ全面雪渓で、ポールマーキングはされていますが、
視界不良時は道に迷う可能性があるので注意が必要です。

 コマクサ平のコマクサは咲いている株が増えて見頃ですが、
蕾状態の株も多いため、まだしばらく見る事ができそうです。

 第3雪渓は、一部登山道が見えていますが、下部約33m、中間約30m、上部約31mの雪渓が残っています。
雪解けが進んでいるため、踏み抜きに注意してください。

 第4雪渓は、約168mの雪渓が残っています。ポールマーキングされていないため、視界不良時の道迷いなどには注意が必要です。
また、雪解け水が大量に流れ込んでおり、非常に歩きづらいです。

開花状況
 第1花園  コツマトリソウ○・ハクサンチドリ○・エゾコザクラ↑・ホソバイワベンケイ↑・ミヤマキンバイ↑・
 第2花園  全面雪渓
 コマクサ平 コマクサ○・ミヤマキンバイ〇・メアカンキンバイ○・イワウメ○・エゾイソツツジ○・ジンヨウキスミレ○
       ・エゾイチゲ○・ヒメクロマメノキ○・チシマキンレイカ↑
 第3雪渓  キバナシャクナゲ○・エゾコザクラ↑・イワウメ○・ジムカデ○・イワヒゲ↑・エゾノツガザクラ○・チングルマ↑
 第4雪渓  イワウメ○・ミネズオウ○・ミヤマキンバイ○・チングルマ○
 赤岳山頂  メアカンキンバイ○・ミヤマキンバイ↑・イワウメ○・ミネズオウ↑・ホソバウルップソウ○・タカネツメクサ↑
       ・チシマアマナ↑・チョウノスケソウ↑・エゾノオヤマノエンドウ○

写真:コマクサ平 7/1

見頃です

黒岳ペアリフト

 リフト乗車中、足元には「チングルマ」「チシマノキンバイソウ」等が
見頃を迎えています。例年よりも花付が良く、群落を形成しています。

 エゾコザクラやエゾツガザクラ、ミヤマキンポウゲ等
も開花しており、片道15分の空中散歩もお勧めです。

 登山が難しいという方も、リフトに乗り
新散策路の「カムイの森のみち」を歩かれるのはいかがでしょうか?
片道約15分で黒岳の雄姿や「あまりょうの滝」などもご覧いただけます。

 尚、チングルマやエゾコザクラはやや萎れかけも出始めましたので
お早目の散策を~。

写真:黒岳ペアリフト乗車中のチングルマ・チシマノキンバイソウ 6/29

赤岳コースの雪渓

赤岳残雪状況 

 赤岳の残雪状況は、第1花園は全面雪で、ポールマーキングはされているので道迷いはないと思いますが、
中間部より急斜面なので歩くときは注意してください。

 展望台から第2花園にかけての登山道では雪解け水が多く歩きづらい状況です。
また、第2花園も全面雪で、ポールマーキングはされていますが、視界不良時は道に迷う可能性があるので注意が必要です。

 コマクサ平では、ミヤマキンバイ、イワウメなどが咲いていました。また、コマクサは咲いている株も見られましたが、
つぼみの状態が多いため、満開まではもう少し時間がかかるかもしれません。
 
 第3雪渓は、一部登山道が見えていますが、上部には雪が残っています。
また、下部では約116m、中間部でも約45mの雪渓が残っています。

 第4雪渓は、ほぼ全面が雪です。また、雪解け水が大量に流れ込んでいるため、非常に歩きづらいです。
しかし周辺では、イワウメ、キバナシャクナゲ、ミネズオウなどが咲いており、赤岳コース内では、一番広範囲に花が咲いています。

開花状況
 第1花園  全面雪渓
 第2花園  全面雪渓
 コマクサ平 コマクサ↑・ミヤマキンバイ〇・メアカンキンバイ○・イワウメ○
 第3雪渓  キバナシャクナゲ○・エゾコザクラ↑・イワウメ○
 第4雪渓  イワウメ○・ミネズオウ↑・ミヤマキンバイ↑・チングルマ↑
 赤岳山頂  メアカンキンバイ○・ミヤマキンバイ↑・イワウメ○・ミネズオウ↑

写真:イワウメと第4雪渓 6/26

エゾシマリス

 ポン黒岳で久しぶりに多くのシマリスが採食していました。
生息数は増えている?かどうかは不明ですが・・・。

 カラスが隠した餌を次から次へと掘り起し、
見事に探し当て採食していました。

 この日はナキウサギの声もあちらこちらで聞こえ、
シーズンインに向けて登山者を楽しませてくれることでしょう。

*先日、ポン黒岳周辺で若い個体のヒグマが確認されました。
また、赤岳第一花園・緑岳第一花畑でも確認されています。
ヒグマはどこにでも生息しています。
特にこの時期は、餌を求めて確認される確率が高いです。
鳴り物は必ず持参して下さい。

写真:イワウメの群落とシマリス ポン黒岳にて 6/25