雪虫

北海道の冬の風物詩「雪虫」が大群で飛び交っています。「雪虫が飛ぶと初雪が降る」と言われていますが、既に初雪は降り、その後も何度かは雪になってはいますが・・・。この虫が舞うことと初雪のタイミングの関係は解明されていないようですが、諸説によると、温度変化を感じていること+日の長さの変化や雪虫の餌である「トドマツ」の養分が変化することが理由とも・・・。この虫、正式には「トドノネオオワタムシ」と言い、大きさ約4ミリ、アブラムシの仲間の昆虫で、北海道には数種類いるようです。夏の間(6月以降)はトドマツの木の根に寄生します。この期間は、木の汁を吸いながら生活しています。気温が下がる10月以降は、トドマツから離れヤチダモという別の木に移ります。(我々が見る雪虫はこの時期のものです)トドマツの木にいる間は、子を作るときに雄を必要としない「単為生殖」を行い、その数を何倍にも増やすことができます。(生まれてくる子は全て雌です)そして、ヤチダモに移った雪虫は、今度は雄も生むようになります。ここで交尾が行われ、今までの単為生殖ではなく「有性生殖」が行われます。(有性生殖によって越冬する卵が生まれます)雄は、餌を捕る口を持たず、繁殖の為だけに生きます。寿命はわずか一週間、この間に交尾をします雄は力尽きて、雌も1個の卵を残して息絶えます。越冬した卵は春に孵化し、再びトドマツに帰り、単為生殖を繰り返します。何ともはかない一生ですが、この雪虫、熱に弱く、人間の体温でも弱ってしまいますが、その数は温暖化の影響で年々減少していくと予想されています。

写真:トドノネオオワタムシ 10/30