沼ノ原

沼ノ原登山道情報

 2016年の豪雨で流された、クチャンベツ登山口へむかう層雲峡本流林道が先月27日から一般開放されています。
以前のようにゲートに鍵はなく、鎖を外して入るようになっています。
かなり大規模な修復工事が施され、水害被害の甚大さを物語っています(写真①)。

 登山口の駐車場にはトイレがあり、入林者名簿を記入して入るようになっています。
歩き始めるとすぐに、写真②のように道が分岐しているように見えます。
右手にテープがあり、こちらがルートのように思えますが、左手の山肌を登って行くトレイルが今現在のルートです。
 
 実は、現行ルートができる以前は、山肌を登らずに沢伝いにルート(右手のテープがあるほうのトレイル)が付けられていました。
国土地理院の地形図や、ウェブの地理院地図にもこちらのルートが載っています。
しかし度重なる橋の流失で、登山道が不通になるため、ニシキ沢右岸の山肌に巻き道が付けられ、
2016年の時点ではこちらが正規のルートとされていました。

 ところが現在、地形図に載っている本来のルートを復旧すべく工事が行われており、近日中に復旧しそうです。
つまり工事終了後は、①山肌を巻いてニシキ沢を渡るルートと、
②クチャンベツ川を右岸から左岸へ渡りさらに右岸へ渡り返すルートの2コースが利用可能になります。
(今日現在では①ルートしか使えませんでした)

 沼ノ原までの登山道の状態は、ササ刈りがされており、2016年以前とさほど変わらないようでした。
大沼の野営指定地は沼の水が少なく、テントを張るスペースがじゅうぶん確保できます。
もちろん大雨が降った後などはこの限りではありませんので、ご注意ください。

写真 ①層雲峡本流林道 ②沼ノ原登山口付近 7/21

黒岳石室周辺

 雪どけ場から「キバナシャクナゲ」「チングルマ」「エゾツガザクラ」等々が
開花し小群落を作っています。

 前回情報時同様、赤石川方面も雪どけ場から同様種のお花が開花し始め
その範囲を拡げていっています。

*本日の赤石川は水量少なく流れも穏やかで問題なく渡渉できます。
*雲ノ平周辺のお花は、遠目には群落を作っていますが、そろそろチングルマ等は綿毛の
 状態となってきました。
*北鎮岳分岐下の雪渓は、登山道上は消雪しました。が、周辺は雪どけ間近のため
 ぬかるんでいますので、歩行には十分注意されて下さい。

写真:黒岳石室周辺のエゾツガザクラ等 7/20

黒岳頂上直下

「エゾツツジ」が見頃です。

 黒岳頂上直下の「エゾツツジ」が前回情報時よりも範囲を拡げ
見頃の状態となってきました。

 周辺では「イワブクロ」「タカネオミナエシ」「コマクサ」等々も見頃を
迎えてきています。

 ここ数年は6月に雪が降るなど、お花にとってはあまり良い条件ではありませんでしたが、
今年に限っては、6月の高温の影響で雪どけが早まり、お花の開花にも良い影響が出たようです。

 特に、7月前半の「キバナシャクナゲ」や現在の「エゾツツジ」に限っては
数年ぶりに良い状態となったようです。

写真:黒岳頂上直下のエゾツツジ 7/20

黒岳北東斜面

黒岳開花情報

前回情報時記載しましたが、雪渓は全て消雪しています。

 黒岳八合目周辺からお花も開花し始め、九合目周辺から頂上直下にかけては
花数や種類も増え、花の黒岳の様相です。

 特に、九合目周辺から「ウコンウツギ」が満開を迎えています。
萎れかけもやや見受けられますが、良い状態です。

 詳細は後日発行の「山情報」に記載しますが「チシマノキンバイソウ」「ミヤマキンポウゲ」
「ダイセツトリカブト」「トカチフウロ」等々が登山道上を賑わせてきました。

写真:頂上直下のウコンウツギ 7/20

お知らせ

松仙園登山情報

今月14日にオープンした(9月30日まで利用可能)松仙園コースを歩いてきました。登山道の状況をお知らせします。
 
 登山口で入林届を記入して歩き始めるとすぐに、左手に三十三曲コースへむかう登山道を分けますが、
松仙園コースはまっすぐ林道を進みます。かつて車道として使われていた広い刈分道を30分ほど歩き、
2つ目の橋を渡ると左手に登山道の入り口があります。
 
 両側から背丈を越えるササで覆われた登山道は、ササ刈りと枝払いはよくされていいますが、
路面にはとくに施工はされておらず、ぬかるみや溝状にえぐれた場所もあり、我慢を強いられます(写真①)。
 
 1時間半ほどの樹林帯あるきの後、ようやく視界が開け、木道が現れます。
この辺りが本コースのハイライトともいえる二ノ沼の湿原です。
展望はとても良く、旭岳から愛別岳にいたる大雪の山々から十勝連峰まで見渡せます。
 
 木道が終わると、山肌をトラバースぎみに付けられた登山道を登ります。
四ノ沼の湿原の端をかすめるように少し上ると、湿原を見下ろす展望地があります。
ここでは特徴的な地形「ケルミ・シュレンケ複合体(註)」を遠望できます。
 
 四ノ沼の展望地からさらに15分ほど登ると、八島分岐に到着。ここがコースの終点になります。
左に曲がれば三十三曲りコース経由で愛山渓温泉に下れますが、時間に余裕があれば六ノ沼方面へ足を伸ばすのもいいでしょう。
六ノ沼までは片道30~40分程度です。

(註)四ノ沼の展望地から見える湿原の縞模様は、等高線にそって帯状に並んだ湿原の表面の凹凸によって形作られています。泥炭でできた帯状の凸地をケルミ、凹地をシュレンケと呼び、凹凸が一体となっていることからケルミ・シュレンケ複合体とも呼ばれています。
(環境省リーフレット「松仙園登山道のみどころ」より)

写真 ①下部樹林帯 ②二ノ沼湿原 7/19