注意喚起

白雲小屋周辺を徘徊しているヒグマに注意

 ここ数日、白雲分岐や白雲小屋周辺でヒグマの目撃情報が相次いでいます。

 本日も白雲小屋のテントサイト裏でヒグマ一頭を確認しました。白雲小屋スタッフのお話では朝から小屋周辺を徘徊していたようですが、午前10時頃小屋に到着すると、テントサイトのすぐ近くにいるのを確認しました。

 ヒグマはテント場裏から水場を通り、登山道を横切って移動していきました。白雲分岐方面から登山者が近づいていたので、こちらもクマと距離をとりつつ観察し、登山者をやり過ごしてから、さらに白雲分岐方向へ向かいました。登山道上で上と下からヒトにはさまれる形になると、ヒグマは下方の人を攻撃する可能性があり、大変危険です。それを回避するための行動です。

 ヒグマは登山道から50メートルほどの距離をとりながら斜面をトラバースし、ヤンベタップ川源流部の雪渓を登り、白雲分岐のすぐ下で登山道を横切って、登山道脇の窪地でハクサンボウフウを食べたあと、小泉岳方向へ去っていきました。11時ちょっと前でした。

 この間、ヒグマはこちらの存在に気づいているにもかかわらず、逃げることもなく、悠然と採食活動を続けていました。白雲分岐下のお花畑では、すぐ近くの登山道から鈴の音や登山者の会話もよく聞こえていました。

 食草のハクサンボウフウもまだじゅうぶんありますので、この個体はこのあと周辺に居着く可能性があります。いちばん気になるのは、ヒトの側が音を立てるなどして、こちらの存在を知らせているのに、全く気にする風がない点です。

 こいう個体に対しては、とにかくヒトの側が注意するしかありません。見通しのよい稜線上では常に周辺を見渡すようにし、見通しの悪いハイマツ帯では音を立てながらゆっくり歩くことを心がけてください。トレイルランのような登山道上を走る行為はリスクを高めますので、なさらないようにお願いします。

写真 水場の近くでようすをうかがうヒグマ(白雲岳避難小屋) 登山道を横断するヒグマ(白雲分岐下) 7/27

赤石川方面

黒岳石室から赤石川に向かう登山道ではチングルマが見頃を迎えています。小さいながらもまとまって咲いている箇所が多く、とてもきれいです。登山道から少し離れた場所ではエゾコザクラが群落を形成しており、斜面いっぱいに紫色が広がっていました。同じ場所にミヤマキンバイも咲いており、紫色と黄色のコラボレーションがすてきでした。

〔赤石川の渡渉について〕
前日の雨の影響で、赤石川の水量が増えているのでは思い見に行ってみましたが、水量は少なく、蛇カゴも露出していて、まったく問題なく渡渉できました。
しかし、日々状況は変化することを念頭に、万全の装備でお願いします。

写真:チングルマ、エゾコザクラ、ミヤマキンバイ(赤石川周辺)

雲の平方面

雲の平では、チシマツガザクラが大群落を形成していました。歩いていると次々と現れるチシマツガザクラ。右も左も、どこを向いてもチシマツガザクラの大群落で、思わず感嘆の声をあげてしまいました。

雲の平の登山道脇に咲いていたチングルマは花が終わり、綿毛に移行していましたが、雪解けが遅かった奥の方では群落を形成して白い絨毯のようになっていました。まだまだチングルマのお花も楽しめそうです。

〔熊の目撃情報〕
午前9時頃、お鉢平展望台下の登山道に親子の熊がいたそうです。目撃した人の話では、登山道で30分ほどずっと動かずにいて(日なたぼっこ?)、その後、横に逸れて赤石川の方へ移動したそうです。21日、22日、23日と同じ親子熊が雲の平や北海沢で目撃されています。
万全の装備で、十分注意して登頂なさってください。


写真:チシマツガザクラ、チングルマ(雲ノ平周辺)

黒岳北東斜面

黒岳の北東斜面では、まだまだチシマノキンバイソウがきれいに咲き誇っています。特に、山頂下では群落を形成しており、見応えがあります。

長い間蕾だったナガバキタアザミやチシマアザミの花が咲き始め、ダイセツトリカブトも開花しました。オニシモツケやミヤマアキノキリンソウ、ハイオトギリも続々と開花し、範囲を拡げています。
黒岳ではまだ夏のお花も見頃を迎えていますが、季節は秋のお花に移り変わっています。


黒岳七合目から山頂までの間でたくさんの落とし物・忘れ物を見かけました。タオル、手袋、シャツ・・・。休憩時に置き忘れないようにお気をつけください。

写真:チシマノキンバイソウ、ダイセツトリカブト(黒岳山頂下)

残雪は消失

赤岳登山道

 赤岳登山道は、第二花園に大きく雪の斜面が残っているほかは、登山道上に雪が残っている箇所はわずかです。アイゼンを携行する必要はありません。

残雪状況
第一花園:消失
第二花園:ほぼ全面雪(写真参照)
第三雪渓:ほぼ消失
第四雪渓:消失

 小泉平では大半の植物が開花のピークを過ぎました。あとは、チシマギキョウやクモイリンドウなどの遅咲きの花を待つばかりです。
 第三雪渓から第四雪渓にかけてはチングルマが見ごろになってきています。コマクサ平ではコマクサが開花のピークを過ぎました。

開花状況
第一花園下:エゾツツジ終 ゴゼンタチバナ↓ エゾノレイジンソウ・ウメバチソウ・ミヤマカラマツ・ヨツバシオガマ・ハクサンボウフウ・エゾウサギギク・マルバシモツケ↑ ミヤマアキノキリンソウ始
第一花園周辺: ウコンウツギ○ アオノツガザクラ・ミヤマキンポウゲ・チングルマ↑
第二花園下:チングルマ↓ エゾコザクラ○ ヨツバシオガマ・マルバシモツケ↑ ミヤマリンドウ始
奥の平: エゾコザクラ・ミヤマキンバイ↓ チングルマ○ アオノツガザクラ・コエゾツガザクラ・エゾヒメクワガタ・ヨツバシオガマ・マルバシモツケ・ハクサンボウフウ↑
コマクサ平:イソツツジ終 コケモモ・コマクサ・エゾツツジ↓ エゾノマルバシモツケ・チシマツガザクラ・イワブクロ・シラネニンジン↑
第三雪渓下:ウコンウツギ終 ミヤマキンバイ・エゾコザクラ↓ アオノツガザクラ・ハクサンボウフウ・エゾヒメクワガタ・チングルマ↑ エゾノミヤマアザミ・エゾウサギギク・ミヤマアキノキリンソウ始
第三雪渓周辺: コマクサ・エゾノツガザクラ・イワヒゲ・キバナシャクナゲ↓ ジムカデ・エゾコザクラ○ エゾノマルバシモツケ・チングルマ・アオノツガザクラ・コエゾツガザクラ↑ イワギキョウ始
第四雪渓周辺:ミヤマキンバイ・アオノツガザクラ・エゾノツガザクラ・エゾコザクラ↓ エゾヒメクワガタ・チングルマ○ ヨツバシオガマ・ハクサンボウフウ↑
赤岳~小泉分岐:エゾノツガザクラ終 チョウノスケソウ・メアカンキンバイ・ミヤマキンバイ・ チングルマ・イワヒゲ・キバナシオガマ・チシマキンレイカ・コマクサ・タカネスミレ↓ ヒメイワタデ・クモマユキノシタ・イワブクロ・エゾタカネツメクサ・エゾノマルバシモツケ・ヨツバシオガマ・ミヤマリンドウ・エゾイワツメクサ・エゾツツジ・ムカゴトラノオ↑
小泉平:ミヤマキンバイ・キバナシオガマ・チョウノスケソウ・タカネスミレ終 チシマキンレイカ・ミヤマアズマギク・コマクサ・イワヒゲ↓ エゾイワツメクサ・エゾタカネツメクサ・クモマユキノシタ・リシリリンドウ・エゾツツジ・イワブクロ・ヒメイワタデ・レブンサイコ↑

写真 赤岳第二花園  第三雪渓 7/14