風の日

 午前中いっぱいは雨風ともに治まらず、グオ~ンと突風が吹くたび面白いように木の葉は空中へと投げ出され、着地も束の間にまた空へと舞い戻る。
 ロープウェイも強風のため一時運休。園地に行ってみると、さすがに鳥たちも木陰で雨風を凌いでいるのか鳴き声も聞こえず、見つけたものといえば、誰にも食べられずに横たわっていたトガリネズミの死骸とエゾハルゼミの抜け殻、それとネズミが齧って穴を開けたクルミくらい。春はエゾアカガエルの卵隗とオタマジャクシでいっぱいになる小さな池も、今は大量の落ち葉に占領されている。風が吹く毎に森の見通しは良くなり、パノラマ台の途中から白い黒岳を眺めていると、再開したロープウェイがゆっくり上がっていくのが枝越しに見えていた。

 写真:ダケカンバの森 
    (ロープウェイより 10/22)