綿毛ラッシュ

 前回通ったときに純白の花を咲かせていたチングルマはもう影もなく、代わりに花畑一面に広がる綿毛の姿。エゾコザクラも花を落とした後はヒョロンと茎が伸びて、先端には膨らんだ実がのぞいています。
 最後まで登山道に残っていた緑岳第1花畑の雪渓がようやく消えたのは8月第2週の後半。緑岳花畑のように雪解けが遅い場所は「雪田」と呼ばれ、そこで群落をつくるチングルマやエゾコザクラなどは雪解けと同時に花を咲かせます。そしてふたたび雪に覆われる前に実を結ばなければなりません。生育のために残された期間は限られています。やっと雪から開放されたと思ったらもう初雪だなんていう年もあるでしょう。
 短い季節にすべてを凝縮させ、無事に今年も綿毛になりました。順風に帆を揚げあとは風に乗っていくだけ。そうか「帆」は「穂」と思いつく。

 写真:チングルマ綿毛(緑岳第2花畑先8/19)

 *訂正とお詫び
 8/17掲載分で「7合目駅舎」とありますが「5合目駅舎」の誤りでした。お詫びいたします。