ワタシ光合成シマセン。

 続く雨、幾重もの灰色雲に覆われ山の頂も見えない毎日は、空気まで重たく感じます。
 湿度90%。笹が覆う薄暗い林床でヘンな植物を見つけました。全身は黄褐色、植物には欠かせない緑の葉もありませんし、花だって「コレが花?」というような風体。
 「シャクジョウソウ」という名のこの植物は、植物でありながら植物とは違った生き方をしています。光合成はせず自分では栄養をつくりません。代わりに自分の根に菌類を住まわせ、その菌類を介し一方的に栄養をもらっている腐生植物です。
 じつは、植物と菌類の関係はとても古く、かつて植物が水中から陸上に進出を始め、今こうして森をつくるまでに分布を広げることが出来たのも、栄養のやり取りをする菌類の助けがあったから。
 ただしシャクジョウソウの場合は、またちょっと別。栄養の「取り」はしますが「やり」はしませんから。かなりちゃっかりです。

 写真:シャクジョウソウ(層雲峡8/10)
    漢字で書くと「錫杖草」