注意喚起

白雲小屋周辺を徘徊しているヒグマに注意

 ここ数日、白雲分岐や白雲小屋周辺でヒグマの目撃情報が相次いでいます。

 本日も白雲小屋のテントサイト裏でヒグマ一頭を確認しました。白雲小屋スタッフのお話では朝から小屋周辺を徘徊していたようですが、午前10時頃小屋に到着すると、テントサイトのすぐ近くにいるのを確認しました。

 ヒグマはテント場裏から水場を通り、登山道を横切って移動していきました。白雲分岐方面から登山者が近づいていたので、こちらもクマと距離をとりつつ観察し、登山者をやり過ごしてから、さらに白雲分岐方向へ向かいました。登山道上で上と下からヒトにはさまれる形になると、ヒグマは下方の人を攻撃する可能性があり、大変危険です。それを回避するための行動です。

 ヒグマは登山道から50メートルほどの距離をとりながら斜面をトラバースし、ヤンベタップ川源流部の雪渓を登り、白雲分岐のすぐ下で登山道を横切って、登山道脇の窪地でハクサンボウフウを食べたあと、小泉岳方向へ去っていきました。11時ちょっと前でした。

 この間、ヒグマはこちらの存在に気づいているにもかかわらず、逃げることもなく、悠然と採食活動を続けていました。白雲分岐下のお花畑では、すぐ近くの登山道から鈴の音や登山者の会話もよく聞こえていました。

 食草のハクサンボウフウもまだじゅうぶんありますので、この個体はこのあと周辺に居着く可能性があります。いちばん気になるのは、ヒトの側が音を立てるなどして、こちらの存在を知らせているのに、全く気にする風がない点です。

 こいう個体に対しては、とにかくヒトの側が注意するしかありません。見通しのよい稜線上では常に周辺を見渡すようにし、見通しの悪いハイマツ帯では音を立てながらゆっくり歩くことを心がけてください。トレイルランのような登山道上を走る行為はリスクを高めますので、なさらないようにお願いします。

写真 水場の近くでようすをうかがうヒグマ(白雲岳避難小屋) 登山道を横断するヒグマ(白雲分岐下) 7/27