黒岳残雪状況

 黒岳登山道の雪解けは例年より2週間ほど早く、いつもの年の7月上旬くらいの印象です。
 大きく解け残っているのは、8合目道標下の通称三角岩付近の高度差20m長さ70mくらいのものと、8合目道標上の高度差30m長さ150mほどでスイッチバック(九十九折り)になった箇所くらいで、あとは10mほどに分断されたものが数箇所残っている程度です。アイゼンは必要ありません。

 例年スノーブリッジが残る赤石川の渡渉点は、すでにスノーブリッジが落ちて、水流を飛び石伝いに歩いて渡れる状態になっています。今日は気温も低めだったせいか、水量も少なく、石室方面から下ってきたときの最初の一歩が、靴が水をかぶる程度の水深だったほかは、くるぶし以下の水量でした。右岸がわの残雪には雪切りがされており階段が付けられていますので、今日現在は歩行に支障のない状態でした。

残雪状況
7合目標柱下 10m
7合-8合中間「三角岩」下 70m 「三角岩」上 25m
8合目標柱下 10m ×2箇所
8合目標柱上 高度差30m 長さ150m
9合目標柱上 15m

開花状況
9合目 エゾイワハタザオ・エゾノハクサンイチゲ・ミヤマキンポウゲ↑
9合目上 エゾイワハタザオ↓・キバナノコマノツメ◯・ミヤマキンポウゲ始
山頂下 エゾイワハタザオ↓・キバナノコマノツメ・ミヤマキンポウゲ・エゾノハクサンイチゲ↑
    ハクサンチドリ始
ポン黒岳 コメバツガザクラ◯・ミヤマキンバイ・メアカンキンバイ・イワウメ・ミネズオウ
     キバナシャクナゲ↑ エゾノツガザクラ始

緑岳残雪状況

 緑岳の登山道の雪解けは例年にくらべてかなり早めです。
 下の写真のように、第一花畑ではすでに木道がすべて露出しており、登山道上の雪は端部の斜面に残っているだけです。エゾコザクラやチングルマの開花もすでに始まっています。
 第二花畑はまだ雪原状態で、ポールのマーキングや虎ロープに沿って歩くことになりますが、ベンチのある辺りでは近日中に木道が露出してきそうです。第一花畑と第二花畑の中間部の登山道はすでに露出していますが、下の写真のように雪解け水が勢いよく流れていて、沢を渡渉するように歩くことになります。
 エイコの沢ガレ場には残雪と岩場のあいだにシュルンドができており、踏み抜きと滑落に注意が必要です。
 山頂付近では、イワウメやコメバツガザクラの開花が始まっています。

開花状況
下部樹林帯:エゾイワハタザオ・ミヤマスミレ↑
第一花畑:エゾコザクラ・キバナシャクナゲ↑ チングルマ・コエゾツガザクラ・アオノツガザクラ始

写真 緑岳第一花畑 第一・第二中間部 6/26

赤岳コースの雪渓

 雪解けが早い黒岳にくらべて赤岳の登山道にはまだまだ残雪が多く残っています。過去の写真と見比べてみると、過去5年間でいちばん遅い雪解けのようです。

 第一花園・第二花園・第三雪渓はポールでマーキングされていますが、第四雪渓は今日現在マーキングされていません。ルートを熟知している登山者以外はGPSや地図アプリでのルートファインディングが必要になります。
第一花園・第三雪渓は傾斜のある雪面のトラバースや登下降になります。雪面が硬い場合はアイゼンが必要になることもあります。
残雪状況
第一花園:第一花園下沢状地形から見晴台まで全面雪
第二花園:全面雪
第三雪渓:全面雪
第四雪渓:全面雪

 植物の開花は徐々に始まってきていますが、コマクサ平のコマクサはまだ蕾もほとんど付いていない状態ですので、花を楽しみに行くには、いましばらく待ったほうがよさそうです。
開花状況
登山口~第一花園下:コヨウラクツツジ・エゾイチゲ・コミヤマカタバミ↑
コマクサ平:キバナシャクナゲ・イワウメ・メアカンキンバイ↑ ミヤマキンバイ始
第三雪渓下:キバナシャクナゲ始
第三雪渓上:ウラシマツツジ○ ミネズオウ↑ キバナシャクナゲ始
赤岳山頂付近:キバナシャクナゲ・ウラシマツツジ↑


写真 赤岳第一花園 赤岳第三雪渓 6/21

紅葉谷

約2週間ぶりに紅葉谷に行ってきました。

前回(6/7)行った時に蕾だったエゾレイジンソウが至る所で
咲き誇り、その他にも、ゴゼンタチバナやウコンウツギなど
が綺麗に咲いていました。

紅葉滝も今年一番と思えるほどの水量で、少し離れた所にい
ても水しぶきがかかるほどでした。

今日の層雲峡の最高気温は24℃!雪解けも進んでいるのでしょう。

ちょっと蒸し暑さを感じる今日この頃。
清涼感を求めに紅葉谷にいらっしゃいませんか?


写真:紅葉滝、ゴゼンタチバナ(紅葉谷)6/19




北鎮岳分岐下雪渓

 黒岳から旭岳への縦走コース中の難所の一つが北鎮岳の南東側斜面にのこる大きな雪渓です。ことしは例年よりも雪解けが早めとはいえ、まだまだ大きく残っています。

 ここに掲載した写真は、それぞれ雪渓を下から見上げたものと上から見下ろしたものです。写真にとると斜度がまったくわからなくなってしまいますが、傾斜は20度から25度くらいでしょうか。スキー場の中級コース程度の斜度といえばご理解いただけるかと思います。

 ここ数日温かい日が続いていたためか、昨日は雪が柔らかく、登下降ともさほど緊張を強いられることはありませんでしたが、風雨のあとに気温が下がったりすると、雪の表面が硬くなり、アイゼンが必要な状況になるかもしれません。

旭岳方面から黒岳方面へ向かう場合は、この雪渓を下ることになりますので、雪上歩行に自信がない方はアイゼンを携行したほうが安心でしょう。「簡易アイゼンやチェーンでも大丈夫ですか?」という問い合わせがよくありますが、雪面が硬い場合は文字通り「歯が立たない」ので、10本爪以上のアイゼンをお勧めします。

 残雪期に黒岳旭岳間の縦走をする場合、コース上に大きな雪の斜面が3ヶ所(裏旭・北鎮・黒岳)残ります。黒岳から旭岳へむかう場合は三か所とも登りになりますが、旭岳から黒岳へ向かう場合はすべて下りになりますので、技術的には「旭岳→黒岳」のほうが「黒岳→旭岳」よりも難しいということを知っておいたほうがいいでしょう。また、北鎮岳経由よりも北海岳経由のほうがさらに難易度は下がります。


写真 北鎮岳肩の雪渓(下から見上げる) 北鎮岳肩の雪渓(上から見下ろす) 6/15