ヒグマの目覚め・原生林にて

本日、大雪原生林にて自然観察講座を行いました。大雪原生林は、ちょうど石北峠の辺りに広がる、原始に近い姿をとどめる針葉樹の森です。直径1mを超えるエゾマツや、ヒグマの鋭い爪痕がついたトドマツがあり、巨木の下を歩いていると自分がこびとになったような気がします。豊かに枝を広げる大樹の真下、上を見上げても樹の天辺が見えないほどです。昭和29年、洞爺丸台風は北海道の森林に壊滅的被害を与えましたが、大雪原生林はその風害を免れ、樹齢100年、200年を超えるような大径木が立つ貴重な森です。そして、なんと雪面には、山の主、ヒグマの足跡がしっかりと残されていたのです。敏感な鼻で、春のにおいを感じ取り、冬眠から目覚めた!ヒグマが歩いた路を踏みしめると、巨木の森を、人知れず静かに行くヒグマの残像が見えるようでした。滅多にない体験に、参加者も驚き感心していました。
 今回、原生林の姿を観察してきました。私達が生まれる前から続いてきた森です。開発の進む中、ぎりぎり残った一画なのかもしれません。そしてそれは、深い意味のある一画だと思いました。
 (写真は、トドマツに残されたヒグマの爪痕です。)