続・テンが来た

夕方仕事から帰り、家の除雪を済ませくつろいでいると、ガサゴソと何かが壁を伝うような音が聞こえてきました。屋根の雪が落ちてきたのか、それともノネズミかと別に気にも留めなかったのですが、翌日その正体が明らかになり思いがけず興奮しました。
 やはり同じような時間帯でした。今度はガリガリと玄関のドアを引っ掻くような音がするので、不思議に思い灯りを点けるとそこにいたのはエゾクロテン。 「!!!」 窓の外と内で目が合い、テンはちょこんと後肢で立ち上がると素早く走り去ってしまいました。
 エゾクロテンは樹に依存した生活をし、北海道の森林に広く生息しますが、用心深く滅多に人前に姿を見せることはありません。その為、生態や行動についてまだわからないことが多く、謎めいた動物です。足跡は森を縫うようにしてそこかしこに見つけられるのに、姿は見えない。だから余計に会いたい。そう、テンはそんないきものなのです。
 おまけがもうひとつ。夜中、布団に入り眠りこけていると、またもやガサゴソ動き回る音がします。寝ぼけ眼で目をやると、窓枠にテンが座っているではありませんか。でもここは2階。垂直な壁をどうやって登ってこれたものかとびっくりしましたが、木登りの得意なテンのことですからこれくらいはお手の物なのでしょう。翌朝庭はテンの足跡でいっぱいでした。

写真:エゾクロテン(12/22)