ラッティングコール

 「フィーヨー・・・フィヨーッ・・・」と、日も暮れた谷間を越えて今年もまたこの声が聞こえてきます。これは秋になり発情期に入ったエゾシカのオスが発する声で、なわばり主張や自己アピール等の意味があります。そしてこれがまた何とも言えず物悲しげで、秋の深まりというより冬の始まりを連想させるような声なのです。
 他のオスとのなわばり争いに勝ったのでしょうか?それとも幾度かの争いに興奮しているのでしょうか?勇ましくも哀愁漂う鳴き声が一日の終わりとともに夜に吸い込まれていくようでした。

 写真:エゾシカ(メス)
      紅葉谷 10/18