ふきのとう

ふんわりと積もった今朝の雪は、昨日までの雑多な足跡を覆い隠すのに丁度良く、雪原はまた新しくリセットされておりました。
 緩んだ谷間から落ちた茶色い雪崩跡も、純白のブロックに生まれ変わり、顔を覗かせたフキノトウの一歩手前のところでかろうじて留まっています。フキノトウはフキノトウで、己に振りかからんとしていたそんな一切に関しても、何事もなかったかのように、ただ空に向かって花を開かんとしています。
 雪の下から顔を出したての頃のフキノトウといえば、まだ緑というよりは黄色味の勝る萌黄色をしていますが、3月とはいっても、まだ氷点下まで冷え込む日は続きます。それも承知の上、花の衣は霜に焼けすっかり茶色くなっても、春を待つ姿というものはたくましいものです。

写真:フキノトウ(3/4 層雲峡)