陽気にキョロロロロ~

2月のこれまでの寒さを思えば、うららかな日和と言いたくなるようなお昼でした。気温は4℃。国道の雪もとけ出し、ザブザブ水しぶきを跳ね上げ走る車に、ちょっと歩くのも躊躇してしまいます。
 二羽のヤマゲラがキョロロロロ~キョロロロロ・・・と独特の尻下がりの節まわしで鳴いていました。こちらからはメスの一羽しか見えません。向こうで鳴いているのはオスでしょうか。何となく郷愁めいた感覚を覚える声で、好きな鳥の鳴き声です。
 ヤマゲラはキツツキの仲間です。木の枝が交差する森の中を飛ぶキツツキは障害物の多い森の中で、自在に方向を変えて飛ばねばなりません。このため、翼は短く丸く、樹に着地するときもコントロールが利きます。空という波に乗るキツツキはとても機能的で、それがとても美しく見えました。

写真:ヤマゲラ (層雲峡 2/24)

オジロワシとエゾシカ

車を走らせていると、国道の両脇の柳やドロノキでカラスの群れがなにやら騒がしげにしていました。これはきっとエゾシカの死骸か何かがあるのだろうと思い、すぐに大型の鷲、オジロワシの姿を空に探しました。きっとカラスの喧騒に誘われ、やって来ているに違いないと思ったからです!案の定2羽のオジロワシが悠々と旋回しながら、エゾシカを狙っていました。それだけではありません。クマタカの姿も見えるではありませんか。カラスの群れとオジロワシとクマタカの姿に、それまで平穏であった空は一転し、にわかに荒々しい様相へと変貌していきました。
 それにしても、たった一頭のエゾシカの血肉の姿を空から嗅ぎつける眼力はたいしたものです。彼らはこの肉を3、4日でほぼ食べつくしてしまうのでしょう。4日後にもう一度訪れたときにはもう骨と皮を残し、粗方食べつくされた後でした。後はキツネやテンたちの餌となるのでしょう。厳しい現実に思えても、お腹を空かせた動物たちにとっては、これは紛れもなく恵みの瞬間となるのです。

写真:エゾシカ狙うオジロワシ
    (層雲峡 2/18)

大函トレッキング地質観察会の巻

今日は大函へスノーシュートレッキングに行ってきました。今回の講座では、大雪山の生い立ちと柱状節理の成因に迫りました。
 話は今から約3万年前のお鉢平大噴火に遡ります。層雲峡一帯には、噴火の際に大量の火山灰や軽石が降り積もり、その自らの自重により内部は溶岩のように溶けていき、やがて冷え固まっていきました。その際、内部に向かって収縮が起こり亀裂が入り、高さ200mもあろうかという、ちょうど六角形の鉛筆のような柱が出来上がりました。それを石狩川が約1万年の時をかけて削り上げ、今の大峡谷ができました・・・。
 と、駆け足で簡単に述べましたが、大函はその柱状節理の突端部に当り、石狩川が決壊する前の約3万年前以降には、大函の上流部には、滔々と水を湛えた古大雪湖があったそうです。それはいったいどんな姿だったのでしょうか!また、大函周辺の絶壁には、柱状節理の上部をかつて石狩川が流れていたという証である段丘砂礫層を見ることができます。
 さて、今回の観察会が遥か古(いにしえ)に思いを馳せ、想像力溢れる講座となったならば万々歳であります。(報告終わり)

写真:溶結凝灰岩にぶら下がる巨大つららに圧倒
                (2/14)

イイズナの穴?

立春が過ぎても雪は相変わらず容赦なく振り続き、少々悩みの種となっておりますが、陽が長くなってきたなあと感じる今日この頃です。特に夕方ですが、ちょっと前までは4時といえばもう薄暗くなってきたのに、最近は5時でもまだ視界が利きます。変わらないようでいても季節はゆっくりすすんでいるんだなぁ~と一筋の光が見えてくるような思いです。
 一瞬雪が止んだ隙に歩きに出かけました。道に沿うようにして、何か小動物の跳ねたような足跡がてんてんと続いていました。大きさとシャクトリムシの足運びのような特徴から、オコジョかイイズナかと思います。時々雪の穴の中に潜っては、また出てきてと繰り返しながら進んでいました。穴の大きさと農耕地という環境からイイズナ?のようです。
 イイズナはノネズミくらいの大きさで夏毛は下顎下面から胸腹部全面が白色で、そのほかは茶色になりますが、冬毛は全身真っ白になります。主として肉食で、ときには自分より大きなノウサギやカモなどを殺すこともあり、可愛い顔に似つかわずけっこうキカナイ動物なのです。

写真:イイズナの足跡と穴?(2/10)

冬のカワガラス

今日は節分です。暦の上では季節の変わり目で、冬と春の境目ということになります。でも現実は冬のいちばん盛んなとき。厳しい冷え込みが続いています。
 ところがこの寒さにもかかわらず、涼しい顔で石狩川で潜水している鳥がいます。それはカワガラス。ビッビビッと鳴きながら水面すれすれに低空飛行。岩の上に着地したかと思うとザブンと飛び込み、川底を歩きながら餌となる水生昆虫や小魚などを探します。尾羽の根元に油つぼがあり、それをくちばしでとって全身になすりつけているので、羽がぬれることはありません。
 この寒いのに・・・と見ているこちらが寒くなってしまいます。アイヌでは「ウォルン・カッケウ・カムイ」=「水中にいる・カッコウ・神」や「トシリ・ポクン・カムイ」=「川岸の下にいる神」などと呼ばれているそうです。

 写真:カワガラス(大函 2/3)