冬眠明け

ビジタセンター前の雪壁も昨日からの雨で随分と解けましたが、裏山にはまだ多くの雪が残っていました。この時期の雪面はかたくスノーシューがなくても気軽に雪の上を歩けるので、特に早朝の散策は疲れも忘れて何キロも歩いてしまうほどです。
 昨日も層雲峡周辺の沢沿いをいつものように歩いていると、遠くの斜面に黒々とした点が延々と続いているのが目についたので、確認のため近づいてみると、遠くから見えた黒い点は、みぞれ交じりの雪面に残された冬眠明けのヒグマの足跡でした。周囲を見渡しながらヒグマがいない事を確認して足幅を測ると15、4cmほどあり、大きさから見てオスの成獣と判断しました。ヒグマは数時間前にこの場所を通過したようで、雪面にはまだ爪痕もはっきりと残るほどの生々しさでした。今年初めてのヒグマの痕跡に多少の緊張感はあるものの、毎年ヒグマの足跡を春の指標のひとつとしていた事もあり、やっと出てきたかと実感しつつ、長居は無用とすぐさまその場を離れ、来た道を戻ることにしました。

*この時期、層雲峡周辺の国道沿いでは、放置されたエゾシカの死骸が多く残されていることから冬眠明けのヒグマが徘徊し、居着く可能性もあるので注意が必要です。

写真:針葉樹林に残されたヒグマの足跡 (4/20)

福寿草

ここ数日は暖かい日が多く、層雲峡周辺の雪解けも随分と進みましたが、朝晩の気温は氷点下と冷え込みも厳しく、花々の開花にはもう少し時間がかかりそうです。
 しかし層雲峡から20キロほど離れた上川公園では福寿草が花を咲かせ、周辺の林ではモズやホオジロの姿が見られるようになり、大雪山の麓にも着実に春の気配が感じられるようになってきました。

写真:上川公園の福寿草 (4/9)

キレンジャク

久々の晴れ間に、朝から森歩きをしていると久しぶりに聞く小さな鈴のような「チリリリ」という鳴き声。周辺の樹木を見渡すとドロノキの枝にキレンジャクの群れが止まっていました。群れの数を数えてみると23羽で、すべて尾の先端が黄色いキレンジャクでした。キレンジャクは赤い実をつけたヤドリギを啄み、休息を繰り返すこと30分。実を食べ尽くすと23羽の群れは一斉に飛び立ち、あの小さな鈴のような鳴き声とともに遠くへ離れていってしまいました。
 層雲峡周辺では4月下旬ぐらいまでキレンジャクの姿が見られますが、その後は北上して繁殖地に向かうようです。

写真:ヤドリギの実を啄むキレンジャク 4/3

積雪深

本州では梅や桜の花が咲き始めているようですが、層雲峡や大雪の山々では、まだ多くの雪が残り冬の寒さに覆われています。
 積雪深も30日現在で、旭川48cm、層雲峡110cm、黒岳7号目350cmとなっており積雪量自体はどの地点も、ほぼ平年並みとなっています。
 層雲峡などの山沿いの地域では、時おり日差しも強く春めいた日もありますが4月下旬までは降雪があり、一時的な大雪も珍しくないので本格的な春には、もう少し時間がかかりそうです。

写真:羽毛を膨らませ寒さをしのぐミヤマカケス(3/30)

大荒れ

層雲峡周辺は昨日の暴風雪に比べると幾分、風はおさまってきましたが降雪は依然多く視界も約50m程とかなり悪い状態が続いています。この1週間の天気はめまぐるしく16日の最高気温がプラス10℃になったかと思うと、17日には大雪で24時間に降った雪が50cmになるなど、天候の変化に体がついていけなくなりそうでした。そして、今現在も1時間ごとに除雪しなければいけないほどの降雪(きれいに除雪しても1時間後には、10cm強の雪が吹き溜まります)となっており、早い段階での天候回復を期待しているところです。

写真:大荒れの層雲峡温泉街(3/22)