霧の稜線

 カンカンの青空を見上げ「雨降りませんねぇ」とつぶやいてしまうほど今年の夏は晴れ続き。山行には良いのですが、山の上の花たちにとっては大問題です。もともと、高山という環境で乾燥や寒さに耐えられるように適応してきた高山植物ですが、花弁はシワシワ窶れ色は褪せ。どうにか凌いでいるといった様子がなんとも痛々しく。けれどそんな山にも久しぶりに霧雨が降りました。とたん、花はみるみる輝きを取り戻し、煙る霧雨の中全身で水滴を集めその一滴一滴を根に送り込んでいました。
 しゃがんで高山植物を観察してみてください。ぎゅっと緻密な葉も、細かな毛に覆われクッションのように柔らかな葉も、それぞれから保温と乾燥を防ぐために完成された機能の美しさが見えてきます。

 写真:エゾツツジもイキイキと
    (緑岳山頂・7/21)