夢のあと

 急な斜面を登りきり、緑岳の山頂に立つと、冷たい北西風が吹きつけました。稜線のようすは一週間ですっかり様変わりし、賑やかに咲き誇っていたエゾツツジの赤い花はほとんど姿を消し、花の終わったホソバウルップソウとひょろひょろと地面から突き出たエゾハハコヨモギが、ゆらゆらと幽霊のように風に揺れているのが目立ちます。先週7月16日にご紹介したチシマギキョウの株を捜して板垣分岐方向へ歩を進めると、花の命は短し!すっかり花を落とした姿に変わっていました。まだ咲き残っている株も、花は元気なく頭を垂れ、落ちるのを待っているようなようすでした。稜線はまさに「強者どもが夢のあと」的な終わった感が漂っています。
 一方、ここしばらくの雨で、第一・第二花畑の雪は急激に解け、雪解けのあとからエゾコザクラやミヤマキンバイなどの雪田植物が次々と開花をはじめており、こちらのほうはようやく始まってきたなという印象です。これから8月にかけて見頃を迎えそうです。

開花状況
第一花畑:キバナシャクナゲ・ジムカデ(咲き始め)ミヤマキンバイ↑・エゾコザクラ↑
第二花畑:キバナシャクナゲ↑・ミヤマキンバイ↑・エゾコザクラ↑チングルマ◯
岩塊斜面:メアカンキンバイ↓・エゾイワツメクサ↓・イワギキョウ↑・チシマツガザクラ↑・イワブクロ↓・ヒメイワタデ↑・ウスユキトウヒレン↑
山頂~板垣分岐:イワブクロ↓・ヒメイワタデ↓・ウスユキトウヒレン↑・チシマギキョウ↓・エゾイワツメクサ↓・エゾタカネツメクサ↓・エゾハハコヨモギ◯・チシマツガザクラ↑・シラネニンジン↓・エゾツツジ↓・サマニヨモギ↓

雪渓状況
 ここ一週間で急激に雪解けが進んだ印象。第一花畑は木道が完全に露出した。第一花畑上部斜面に100m程の雪渓が残る。第二花畑上部からエイコノ沢ガレ場までは、雪の斜面が、下から約10m